順天堂が医学は、埼玉県と共に浦和美園地区に開設を検討していた(仮称)国際先進医療センター(800床)の病院建設計画を断念し、令和6年11月29日付で埼玉県に病院整備計画中止届を提出したことを公表した。
主な理由は当初の2.6倍の2,186億円へと膨れ上がった建築費の高騰としているが、病院建替え計画の見直し、停止は全国的にも発生している。
これまでの経緯
- 平成26年10月に埼玉県が公募した病院整備計画に関し、平成27年3月に本学の病院整備計画が埼玉県により承認された。
- 平成30年に埼玉県と病院整備に関する確認書を締結し、病院の建設予定地の土地整備の問題やコロナ禍の影響もありながらも計画策定及び設計作業に取り組み、令和7年4月の着工、令和9年11月の開院を目指す。
- 2024年7月に施工会社による設計の結果、概算工事費が算定され、建築業界の急激な需要増や資材の高騰に加え、深刻な人手不足などの要因も重なり建築費が大幅に高騰、その他の費用も上昇した結果、総事業費が当初平成27年に予想した規模の2.6倍にあたる2,186億円に達することが明らかになった。
- 新型コロナウイルス感染症の流行による病院運営への負の影響や、先進的な医薬品・診療材料の価格高騰などが原因で、多くの国立大学病院や都立病院では収支が赤字となり、その赤字幅が拡大する厳しい状況、令和6年4月から施行された医師の働き方改革への対応も含め、6つの医学部附属病院を抱える本学は、かつてないほどの厳しい財政状況に直面。
- 現在の診療報酬の下では急速な大幅増益が見込めないことから、当該事業に充当する予定の準備資金の確保及び開設後の運営資金の捻出することが難しい。
- このため計画の見直しを行い、事業費を抑えるために予定していた看護系学部の開設や宿舎の整備・大学院棟の建設を先送り、まずは医師派遣の拠点となる病院棟と陽子線棟の建設を優先、病院棟の規模も800床から500床程度に縮小する計画案を検討。
- 新病院の開院後の事業性についての検討を行ったが、建築費の高騰に加え現在さらには今後も続くであろう医療を取り巻く厳しい環境を鑑みると、上記計画案の見直し等の諸検討によっても、埼玉県民の皆様に貢献することができるための最先端医療機能を備え、かつDXを活用した未来型基幹病院の開設は到底困難な見通しであることが明らかとなった。
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