県立病院の収支改善、目標74億円

新潟県病院局は6日、赤字が続く県立13病院の経営改善に向けた緊急的な取り組み案を公表した。2019~23年度を取り組み期間とし、5年間で計74億円の収支改善に取り組む。達成に向け、利用率が低迷する病院の病床削減を検討することや職員数の見直し、給与の適正化などを掲げた。

県によると、県の病院事業は20年度末にも運転資金に当たる「内部留保資金」が9億円不足し、資金不足に陥る可能性がある。一時的な借入金で対処しても不足額は年々増加し、23年度には74億円もの不足額が発生して資金繰りができなくなるという。

このため、緊急的な取り組み案ではこの不足額74億円を「収支改善必要額」として目標に設定。23年度までの5年間に行う取り組みが列挙された。

具体策としては、3年連続で病床利用率70%未満の病院のほか、病院全体では利用率70%以上でも、70%を下回る病棟がある病院も病床の削減を検討する。対象となるのは、中央(上越市)、十日町(十日町市)、松代(同)、加茂(加茂市)、吉田(燕市)、がんセンター新潟(新潟市中央区)、精神医療センター(長岡市)、リウマチセンター(新発田市)の8病院。

このほか、患者数に見合った職員数に見直すことや、時間外勤務の縮減も盛り込まれた。

県はこれらの取り組みによって目標を上回る最大80億~90億円程度の収支改善を見込む。ただ、県病院局の品田英光次長は「最低でも達成したい目標だが、かなり高いハードル」との認識を示した。

県は6日、有識者による県立病院経営委員会でこの取り組み案を示した。委員長の染矢俊幸・新潟大医学部長は「支出カットだけでは負担が出る。収入を増やすことについても努力してほしい」と指摘した。

県立病院を巡っては、18年度の決算で約14億円の経常赤字を計上。県は県立病院の経営に毎年100億円超を支出しており、県の財政を圧迫している。

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