岩見沢市新病院建設基本計画支援業務 基本計画の作成がスタート

岩見沢市新病院建設基本計画策定支援業務に関する公募型プロポーザルの実施
岩見沢市新病院建設基本計画策定支援業務に関する公募型プロポーザルの実施

北海道中部に位置する岩見沢市は、「新病院建設基本計画策定支援業務」の公募型プロポーザルを実施した結果、優秀交渉権者にシステム環境研究所を特定した。

岩見沢市立総合病院では、令和2年度に策定した「新岩見沢市立総合病院建設基本構想」及び、令和3年8月に取りまとめた「岩見沢市立総合病院と北海道中央労災病院の統合を前提とした新病院整備基本方針」に基づき、新病院を建設するために必要な基本計画の策定を支援する「岩見沢市新病院建設基本計画支援業務」の受託候補者を公募していた。見積上限は57,200,000 円(消費税及び地方消費税を含む/令和3年度:28,600,000 円、令和4年度:28,600,000 円)。「新病院建設基本構想策定支援業務」は株式会社医療開発研究所が作成していた。

岩見沢市立総合病院は、経年による施設設備の老朽化、汎用性の低さ、療養環境やサービス機能の低下など様々な課題を解決し、南空知医療圏における地域センター病院として、高度化・多様化する医療ニーズや医療技術の進歩等に対応するため、新病院の整備が必要となっていた。

また、南空知医療圏における急性期機能の維持・強化を図るため、独立行政法人労働者健康安全機構との間で、令和9年4月を目途とした、当院と北海道中央労災病院の統合に係る基本合意書を締結している。

基本合意書締結式
岩見沢市と独立行政法人労働者健康安全機構は、「岩見沢市立総合病院と北海道中央労災病院の統合に係る基本合意書」を締結

新岩見沢私立総合病院の基本方針

新病院のコンセプト

『質の高い急性期医療の提供を維持・強化するとともに、南空知医療圏域住民の生活的価値(QOL)を実現する地域包括ケアの拠点ともなる病院』を目指す。

新病院のめざす病院像

①急性期医療・救急医療提供体制の充実

  • 住民が安心して生活できる地域を守っていくため、急性期医療体制と救急医療体制を強化し、南空知医療圏で発生した二次救急を引き受ける設備機能の充実を図るとともに、三次救急を受け入れる札幌圏等の医療機関とも連携を図ります。

②地域医療連携と回復期機能の充実

  • 患者に合った適切な医療を提供できるよう、岩見沢市医師会や地域の医療機関との更なる連携を深め、地域医療の維持を図ります。
  • 急性期を脱し在宅復帰を目指す途上にある患者のために、回復期リハビリテーション病床などの設置を検討します。

③がん治療体制の提供

  • 南空知医療圏におけるがん治療の中心的な基幹病院として、最先端医療機能の整備緩和ケア病床の設置などを検討し、将来的にはがん診療連携拠点病院の指定を目指します。

④透析療法の提供

  • 岩見沢市内で透析療法が可能な医療機関は、総合病院と岩見沢クリニックの 2 施設のみであることから、引き続き透析患者に対応する体制を維持します。

⑤精神医療の提供

  • 精神科救急医療や精神科デイケアの機能を担うとともに、身体合併症を有する精神疾患患者を診療できる体制を引き続き維持します。
  • 近隣の精神科医療機関や福祉施設等との連携を強化し、長期入院患者の地域移行や早期退院・社会復帰を促進します。

⑥小児・周産期医療の提供

  • 妊娠・出産・子育ての医療の分野における切れ目のない支援に向け、小児医療における一般外来及び専門外来を引き続き維持し、南空知医療圏における小児の二次医療体制を推進するとともに、南空知医療圏における地域周産期母子医療センターとして、周産期医療体制の充実を図ります。

⑦災害拠点病院の役割

  • 南空知医療圏における災害拠点病院として、災害派遣医療チーム(DMAT)をはじめ災害医療体制の充実を図ります。
  • 北海道胆振東部地震の経験を踏まえ、安全かつ十分な電力を賄う自家発電装置の設置など、災害に強い病院設備の整備を図ります。

⑧研修環境の提供

平成 15(2003)年に基幹型臨床研修病院の指定を受け、高度な専門性のある医師、あるいは地域医療を担う医師を輩出する研修の場を提供することが求められています。今後も医育機能の充実に向け、必要な設備や機能を整備していきます。

⑨チーム医療の推進

  • 患者の早期社会復帰を目指し、医師・看護師・医療技術など多職種のスタッフが連携・協力し、専門分野の経験や知識・技術を結集し治療にあたる「チーム医療」の推進を図ります。

⑩安全・安心で快適な療養環境等の整備

  • 安全・安心で、全ての利用者にとって利用しやすい施設・設備を整備するとともに、わかりやすい施設配置やユニバーサルデザインの導入など、快適に療養できる環境の提供を目指します。
  • 省エネルギー設備の導入や再生エネルギーの利用、エネルギー消費量の収支ゼロを目指すZEB(※)の検討など、地球環境と経済性の両面に配慮した施設の整備を目指します。
    ZEB(ゼブ):Net Zero Energy Building の略。自然エネルギーの活用や高断熱・高効率設備の導入により、室内環境の質を維持しながら大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーの導入などにより年間の一次エネルギー消費量の収支正味ゼロを目指す建築物のこと。国は、2030 年までに新築建築物の平均でZEBの実現を目指している。

整備スケジュール

2021年~22年に基本計画、それ以降、設計、工事、開院としている。

岩見沢市立総合病院 基本構想策定の背景

  • 昭和 2(1927)年の開設以来、南空知医療圏における地域センター病院として、高度医療や救急医療、小児・周産期医療等を担い、岩見沢市民のみならず南空知圏域の住民の健康を守る安心・安全な医療の提供に努めてきた。
  • しかし、昭和 59(1984)年に建築された本館病棟は 36 年、本館診療管理棟も翌昭和60(1985)年の建築から 35 年が経過し、経年による建物・設備の老朽化・狭あい化に加え、快適な療養環境の確保やサービス機能の低下、駐車スペースの不足などさまざまな課題を抱えており、高度化・多様化する医療ニーズや医療技術の進歩、安全管理、業務効率の向上など、さまざまな面で求められる医療サービスに現在の施設・設備で対応することが極めて困難になってきている。
  • 今後も将来にわたって地域住民に信頼される病院として、安全で質の高い医療を持続的に提供していくため、新たな病院の整備が必要と判断。
  • 平成 30(2018)年度より、総合病院の患者数や医療体制・施設などの現状や課題、地域の医療ニーズや今後の医療政策の方向性など、総合病院を取り巻く環境の分析など基礎調査してきた。

岩見沢市立総合病院 概要

  • 名称…岩見沢市立総合病院
  • 病床数…484床(一般365、感染4、精神115)
  • 診療科目…内科、消化器内科、小児科、外科、整形外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、泌尿器科、精神神経科、麻酔科、脳神経外科、皮膚科、放射線科、形成外科
  • 職員数…525人(医師55人、研修医5人、看護師329人、薬剤師15人、その他職員136人)

北海道中央労災病院 概要

出典