救急・感染症外来や遠隔診療などに対応する「ER棟」を本館南側に新築する徳島県立中央病院(徳島市)で20日、起工式と安全祈願祭が開かれ、約50人が参加したことが報道された。
徳島県立中央病院(以下、「本院」)は、昭和28 年に国から「国立徳島病院」が移譲され、診療を開始した。
その後、昭和47年の改築に引き続き、平成24 年10 月の新病棟建築を経て、現在の形で新病院(病床数460 床)を開院、運営している。
その後、新病棟建築から7 年が経過する中で、医療を取りまく環境や本院に求められる社会的な要請も大きく変化しており超高齢社会の到来や疾病構造の変化、救急搬送される患者の増加など、様々な課題が明らかになっているところである。
このような社会情勢の中で、県民医療の最後の砦として、県民に良質で安全な医療を提供し、県民医療サービスの向上に寄与するため、本院は、一般の病院では実施困難な高度医療や政策医療を着実に実施してきた。
特に、本院は、救急病院を定める省令に基づく「救急告示医療機関」として、また、災害医療を提供する上で県内における中心的な役割を担う「基幹災害拠点病院」として位置付けられており、県内医療に占めるその責務はますます重みを増してきていることから、2つの基本方針に基づきER棟の機能を強化することとなった。
基本方針 1. 4つの機能をER棟に付与・統合し、本館棟と連携することで機能向上を図る
①救命救急機能
常時、高度な救命医療に対応する「救命救急センター」としての機能向上を図るため、ER棟では感染症外来をはじめとする救急医療を充実し、本館棟と連携した体制を構築する。
②災害対応機能
県内に1 力所指定されている「基幹災害拠点病院」として、発災時に速やかに危機事象に対応できるよう、「災害対策本部」や「DMAT 活動拠点本部」においてシームレスで実効性の高い機能を充実させる。
③人材育成機能
キャリアアップにつながる魅力的な研修体制を確保するため、シミュレータ-等を用いて医療技術の習得を図るための施設「スキルスラボ」を整備し、専門性の高い人材を育成する。
④地域医療支援機能
医療分野での「Society5.0」を実装するため、「5G網」により県立病院間を接続するとともに、「5Gオンライン診察室」を整備し、遠隔診療・遠隔診断・遠隔救急医療により地域医療を支援する。
基本方針 2. 本館棟とER棟の連携により医療機能を拡充・充実し、医療需要に対応する
①ER機能の強化
本館棟のER機能(二次・三次救急医療)を充実するとともに、重篤な患者を治療するICU・HCU を拡充し、高度医療に対応した医療体制を構築する。
② 内視鏡機能の強化
内視鏡の診断・治療の充実を図るため、本館棟の「内視鏡センター」をER棟へ移設・拡充し、救急患者に対する検査・治療件数の増加に対応可能な体制を構築する。
これに伴い、「県立中央病院ER棟新築工事のうち建築工事」を一般競争入札した結果、が報道されている(2021年9月14日付)。27億8700万円(税別、以下同)で大成建設・アズマ建設・三木組JVに決めた。予定価格は28億8980万円で、同者のほか西松建設・平山建設・島谷建設JV、大林組・亀井組・藤崎建設JVが応札していた。
基本・実施設計は日総建・宮建築設計JVが担当。
増築されるER棟は既存病院と渡り廊下棟で接続され、地上5階の免震構造RC増で計画されている。
合わせて病床も整備され、ER棟の1階に救急用オーバーナイト病床が12床、本館棟4階にICUとHCUそれぞれ10床ずつ整備される。
増築される救命救急センターには2次救急患者の処置室4、3次用の処置室が2、3次陰圧室2が設置され、同エリア内に32㎡の手術室を備える計画。
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