笠岡市新病院基本計画

笠岡市新病院基本計画
笠岡市新病院基本計画

岡市立市民病院とは

笠岡市立市民病院(以下「市民病院」という。)は、昭和8年に町立金浦病院としてスタートし、昭和27年4月の笠岡町と金浦町の合併により笠岡市が誕生すると同時に、「笠岡市立市民病院」に改称し、昭和38年9月に現在地に移転。 その後、時代の求めに応じて病床規模や診療科目等を拡大し、昭和56年の増築とともに、病床規模がこれまでで最大の278床となったが、その後、地域の医療機関の整備が進むとともに、人口の減少や医師数の減少を背景として、患者数が減少し、令和3年度からは99床とし現在に至っている。

基本方針(果たすべき機能・役割)

総合内科・総合診療科を中心とした診療体制を構築し、外来診療及び入院診療に対応。

一般診療から救急医療まで幅広い診療に対応するため、岡山大学医学部総合内科学と連携するための地域医療に関する寄附講座を継続し、診療体制及び若手医師の指導体制を整備する。

(1)地域包括ケアシステムでの役割(在宅医療

  • 地域包括ケアシステムの中で、市民病院の役割としては、地域包括ケア病床及び療養病床を核に、訪問診療・訪問リハビリテーション(以下「訪問リハビリ」という。)など在宅医療を拡充する。
  • 訪問看護ステーションの設置についても検討。笠岡市内で療養病床は市民病院にしかなく、必要な病床数を維持。
  • 市民病院は一人世帯の患者などの受入れや看取りなど「最後の砦」としての機能を果たす。
  • 市民病院と笠岡市の健康部門、地域包括支援センターと連携を強化する。

(2)リハビリテーション機能

  • 高度急性期から在宅復帰へ向けての患者の受入や地域包括ケアシステムの中での役割としてのリハビリテーション機能を強化。
  • また、在宅医療の体制強化を図るため、訪問診療の充実と併せて訪問リハビリを拡充していきます。そのため、令和4年1月に常勤のリハビリテーション科の医師を採用し、現在訪問診療及び訪問リハビリを実施。
  • さらに充実していくために、今後はスタッフを増員し、島しょ部だけでなく陸地部へのエリア拡大など、訪問リハビリの体制強化を図る。

(3)救急医療

  • 市民病院は二次救急医療機関として、令和3年度に年間で約1,650人(うち時間外約1,200人)、そのうち救急搬送を約520件(うち時間外約320件)受け入れ。特に休日夜間の救急について、市内の総合病院と共に重要な役割を果たしている。
  • 救急医療は市民にとっての安心安全な機能であるとともに、診療所からの救急患者の受入という連携における重要な機能としても引き続き救急医療体制を整備・維持。
  • 高度急性期病院、市内の総合病院や診療所と機能分担や連携を行い、持続可能な救急医療を模索。市民病院は岡山県南西部保健医療圏に属しているが、広島県との県境を越えた福山市の医療機関とも連携を取りながら、救急医療における医療提供体制のさらなる強化を図る。
  • 島しょ部の救急搬送について、笠岡市が救急艇を建造し、笠岡地区消防組合と連携し、笠岡市内陸部と同様の救急医療サービスを受けることができるよう、救急医療体制を強化。

(4)離島医療

  • 島しょ部における医療の提供として、現在、有人7島への医療提供に対応しており、そのうち、白石島診療所、真鍋島診療所、六島診療所の3診療所に医師を派遣し、離島医療の一翼を担っている。
  • 今後も、島しょ部に提供する医療の内容について、在宅医療・遠隔地診療(情報通信機器を用いたオンライン診療)を含めて継続。
  • また、救急艇と連携した、島しょ部の救急医療体制を構築し、島しょ部への医療提供の拡充を図る。

(5)小児医療

  • 現在、笠岡市内で小児科を標榜している医療機関は、市民病院も含めて15施設。
  • 市民病院の特徴は、発達障害や療育関係の診療を行っていることで、倉敷市以西を中心に市外からも多くの方が来院。
  • 今後も、小児一般診療だけでなく発達障害や療育関係も含めて笠岡市の小児医療を支える。

(6)災害時医療

  • 市民病院は笠岡市内で災害が起きた時に重要な役割を果たす病院。
  • 今回の新病院整備を機に、水、食料、医薬品などの備蓄と、非常用電源の整備などにより、自然災害に強い病院とする。
  • 災害時には市内の総合病院などの医療機関と連携。
  • 公立病院としての重要な役割は、自然災害だけでなく、新型コロナウイルス感染症のような新興感染症の発生時に地域医療を守る拠点としての機能を維持できる病院にするため、新興感染症に対応できる構造、設備とする。

(7)新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組

  • 現病院においても、新型コロナウイルス感染症対応病床として、休床病棟を活用し、市内外からの患者の受入に対応。
  • 新病院でも新興感染症の拡大時に備え、流行度に応じた段階的な感染対策エリアの拡張が可能な病棟を整備。
  • 新興感染症の感染拡大時において、今回の新型コロナウイルス感染症で行ったように病院間の看護師の相互派遣等柔軟に対応できる体制を維持。

病床数は99床

  • 新病院において整備すべき病床規模は、現在の病床稼働状況や将来の入院患者数推計、周辺医療機関の整備状況等を考慮し99床。
  • 公立病院として、新興感染症の感染拡大時等に備え、感染症患者の受入病床を確保し、院内感染を防ぐ病床整備。
  • 将来的な人口の減少等に伴う医療ニーズの減少も見据え、一部病床を介護医療院等へ転換することを考慮し、1床当たり8㎡などの基準を満たす病棟を整備。
病棟病床区分病床数入院料病床運用・機能
一般病棟一般病床26床一般病棟入院基本料6・新興感染症拡大時の対応、救急患者への対応
地域包括ケア病床34床地域包括ケア入院医療管理料1・高度急性期からの受入、在宅復帰支援機能
療養病棟療養病床39床療養病棟入院基本料1・長期療養を必要とする患者の受入、将来的に段階的な病床転換が可能となるようスタッフステーションを間仕切り等により分割できるレイアウト
合 計99床
1フロアに配置しスタッフステーションを一体とする

経営形態の見直し

  • 現在、市民病院は地方公営企業法(全部適用)で運営しており、開設者は市長で、運営責任者は事業管理者。
  • 現状では黒字だが、将来を見据え、より柔軟に、また働き方改革等医療環境の変化に対応するため、新病院開院・既存病院解体後に指定管理者制度や一般地方独立行政法人等への移行を引き続き検討。

建物配置計画図

新病院は土砂災害警戒区域を避けて敷地南東部に配置する。

概算事業費は50億円

新病院建設にかかる概算事業費は約50億円と試算している。財源は国の補助金や交付税措置、笠岡市、市民病院負担分をそれぞれを見込む。

項目内容概算事業費
設計・監理費等基本設計、実施設計、設計監理 等1.6億円
建築工事費本体工事、改修工事、解体工事、駐車場、外構 等37.5億円
医療機器等整備費医療機器・医療情報システム整備費 等8.0億円
その他用地取得・移転費 等2.7億円
約49.8億円
笠岡市 新病院建設事業費
財源金額
国(補助金・交付税措置)19.9億円
補助金(例:都市構造再編集中支援事業費補助金)10.5億円
地方債の交付税措置(例:病院事業債)9.4億円
笠岡市9.3億円
市民病院20.6億円
約49.8億円

発注方式はECI方式を採用

2023年7月11日、笠岡市は「新病院建設事業に係る設計・施工発注方式の決定について」を公表し、本事業の特徴(整備地、開院時期、建築単価)を考慮し検討した結果、ECI方式(Early Contractor Involvement)とした。

ECI方式とは、実施設計から施工者が技術協力者として関与する方式。

出所:「笠岡市新病院基本計画」