肝属郡医師会立病院再整備基本設計 公募型プロポーザル 鹿児島県

肝属郡医師会立病院再整備基本設計公募型プロポーザルの実施について
肝属郡医師会立病院再整備基本設計公募型プロポーザルの実施について

公益社団法人肝属郡医師会(鹿児島県)は、肝属郡医師会立病院の移転建替のための基本設計業務に係る公募型プロポーザル実施の公告を行った。建設地は鹿児島県錦江町城元「南部消防署」付近、 敷地面積15,768㎡。履行期限は令和5年3月31日。

肝属郡医師会立病院 新病院建設候補地(鹿児島県肝属郡錦江町 南部消防署付近)

新病院の病床規模

病床数は現病院の196床から132床へと縮小し、地域包括ケア病棟を設置する。

病床機能病棟種別現病床数新病床数
急性期急性期一般病棟58
うち地域包括ケア病床(15)
回復期地域包括ケア病棟50
慢性期障害者施設等病棟6047
障害者施設等病棟42
療養病棟3635
合計196132

整備方針

患者中心の病院づくり

  • ユニバーサルデザインを採用し、高齢者や障がい者へ十分に配慮するとともに、プライバシーを尊重し、誰もが安心・安全で利用しやすい、患者中心の病院づくりを行う。
  • 患者へのケアを充実させるため、職員の動線や作業スペースを確保し、効率かつ機能的な病院づくりを行う。

新たな診療環境への対応

  • 将来の診療環境変化(医療制度の変化や医療技術の進歩、少子高齢化によるニーズの変化等)に柔軟に対応できる施設の整備を行い、医療施設から介護事業への機能転換なども考慮する。
  • 職員が使用する会議室や倉庫などは各部門間で共同利用するとともに、休憩室や作業スペースなどもオープンスペース化し、病院職員が協業しやすい環境を作る。
  • 多目的ホールを整備し、健康を考える啓発活動や集団的な健診、運動教室などを実施し、地域住民に開かれた空間として活用する。

経営効率への配慮

  • メンテナンスのしやすさや、維持管理費の軽減に配慮しつつ、省エネルギーや自然及び再生エネルギーの活用を推進する。

施設規模

  • 病院は、多様化する患者ニーズへの対応や療養環境の充実、職員が働きやすい環境の整備などに対応するため、類似の機能を持つ病院を参考に1床当たり 70 ㎡を確保し、延床面積を9,200 ㎡程度とする。
  • 外来患者や健診受診者等が、1フロア内で必要な診察や検査が受けられるように1階部分を広く取り、病棟は2階以上に配置する。
  • 病棟は 132 床を確保するためには2フロアが必要となり、建物は地上3階建が基本になる。地域で想定される地震の規模に対応する耐震性能を確保し、患者や職員の安全確保に加えて病院機能の維持を図る。
  • ランニングコスト(運転費用・維持管理費用)の縮減・イニシャルコスト(設備費用)の軽減を目指したものにする。

事業の実施方法

公益社団法人肝属郡医師会が事業主体となり病院の再整備を行う。但し、事業の実施にあたっては、錦江町及び南大隅町も事務負担の軽減に協力する。

再整備に要する事業費は、原則、錦江町及び南大隅町において負担するものとし、事業主体である公益社団法人肝属郡医師会の整備費用に対する補助金として交付する。
財源については、過疎対策事業債(※)を柱とし、世代間負担の平準化を図るため30年償還とする。加えて、病院建設等に利用可能な、国・県補助金等の活用を最大限図る。

新病院の安定的運営は、南隅地域にとっても、非常に重要なことであることから、新病院の開院を機に、病院の運営状況等を定期的に報告・検証を行うため、病院運営の見識者や公認会計士などの外部有識者で構成する「肝属郡医師会立病院運営委員会(仮称)」を錦江町及び南大隅町も参画の上で設置する。

※過疎対策事業債とは

自治体が行う借入金の一種で、過疎地域の市町村に限り認められているもの。償還(返済)額の7割を普通交付税として国が支援するため、実質的な町の負担は3割となるもの。

事業費は58.7億円

設計・監理費2.7億円、工事費42億円など総事業費は58.7億円を想定している。また、これに加え現病院の解体費及び引っ越し費用等を含めると62億円程度と試算される。

項 目税込金額(百万円)備 考()は内訳金額
1 造成費99造成費
基本設計費(52)、実施設計費(132)、
2 設計•監理費268工事監理費(44)、設計等支援業務(40)
3 建設工事費4,200本体工事費(4,007)、外構工事費(193)
医療機器(483)、情報システム(350)、
4 医療機器等整備費1,025什器•備品(40)、その他の備品(152)
5 予備費278予備費(事業費(1~4)の 5%)
整 備 費 合 計5,870
6 その他421病院解体費、引越費用
※用地取得関係費は含まず。

施設整備費の概算根拠

区分費用項目税込金額(百万円)算出根拠
造成費99財産評価基準(鹿児島県)
基本設計51.5国交省告示資料
実施設計131.7
設計・監理費工事監査費44.2
設計等支援業務40他病院実績値
建設工事4,007.50同規模病院㎡あたり平均建築単価
建設工事費外構整備192.7他病院実績値

近年整備された病院の 1 ㎡当たりの整備費

県名病院名竣工年病床数(床)延床面積(㎡)建築費(千円)延床面積(㎡/床)㎡単価(千円)
広島県H市民病院201615010,0003,690,00066.7369
岡山県K市民病院201719813,8604,511,73670325.5
三重県市立I病院201830024,87011,400,00082.9458.4
福岡県市立Y病院201835028,00010,437,00080372.8
島根県O市立病院202022917,89010,600,00078.1592.5
平均①75.5423.6

県内・近県事例

県名病院名竣工年病床数(床)延床面積(㎡)建築費(千円)延床面積(㎡/床)㎡単価(千円)
熊本県A市民病院2025年予定27426,09611,462,00095.2404439.2
鹿児島県県立薩南病院移転新築2023年1月末予定15014,9496,814,50099.66455.8
平均②90.1447.5

医療需要予測での入院患者数減少に対応した病棟構成の変化

基本計画では、2055年までの南隅地域の人口動態予測は、国や自治体などがありその予測は差異があるため、人口問題研究所の人口動態予測に基づき医療需要予測を行っている。
その予測に基づき病床数を算出し将来の病棟構成を検討した結果、2035年(開院10年目)までは新病院の3病棟を維持するが、2040年(開院15年目)には医療施設の病棟を介護施設(介護医療院)への機能転換する必要が生じ、2055年には2病棟体制は維持するものの病床数は各30床になると推計。

基本設計では、将来の病棟構成及び機能転換も含めた提案を行う必要がある。

医療需要予測での入院患者数減少に対応した病棟構成の変化

プロポーザルスケジュール

令和4年

  • 8月25日(木) 参加表明書等に係る質疑書提出期限
  • 8月29日(月) 参加表明書等に係る質疑回答
  • 9月 2日(金) 参加表明書等提出期限
  • 9月 6日(火) 参加資格審査結果通知
  • 9月14日(水) 技術提案書等に係る質疑書提出期限
  • 9月22日(木) 技術提案書等に係る質疑回答
  • 10月 7日(金) 技術提案書等提出期限
  • 10月16日(日) 技術提案書等書類審査(第1次審査)
  • 10月20日(木) 第1次審査結果通知
  • 10月27日(木) プレゼンテーション資料提出期限
  • 10月30日(日) ヒアリング・審査(第2次審査)
  • 11月 4日(金) 審査結果通知・最優秀者及び優秀者公表

事業スケジュール

整備手法により事業スケジュールは変わってくるため、2 つの方式でのスケジュール(予定)を提示する。想定している開院時期は令和7年度。

肝属郡医師会立病院再整備基本設計 公募型プロポーザル 鹿児島県
上段は、設計・施工分離方式(※一般的方式)
下段は、設計施工一括発注方式(※開院時期最短)

出所:肝属郡医師会立病院HP「(公告)肝属郡医師会立病院再整備基本設計業務に係る公募型プロポーザルの実施について」
錦江町・南大隅町、公益社団法人肝属郡医師会「肝属郡医師会立病院再整備基本計画」(2022 年6月)