箕面市新市立病院整備

箕面市立病院
箕面市立病院

箕面市立病院は、昭和 56 年(1981 年)7 月に開院し、以来 41 年にわたって、地域医療の中核を担い、地域住民に良質な医療を提供してきた。その一方で、施設及び設備の老朽化が進行するとともに、施設構造上の制約により最新医療への対応も困難な状況となっている。実際、大阪府内において、急性期医療を担う100 床以上の公立病院のうち、築 40 年を超えてなお建替えを行っていないのは箕面市立病院のみとなっている。

平成 29 年度(2017 年度)には、箕面市議会において船場東の新駅「箕面船場阪大前駅」から約 300m(徒歩 4 分)の好立地への移転建替えが決定された。

箕面市立病院の位置づけ

箕面市立病院は、市内唯一の二次救急告示病院であり、急性期医療を担う総合病院として、地域住民が罹患しやすい疾病に幅広く対応している。同時に、地域医療支援病院として、地域の診療所等との連携のもと、安心で質の高い医療を提供してきた。
また、平成 8 年度には、特定病床として回復期リハビリテーション病床の開設許可を受け、地域でいち早く運用を開始し、豊能二次医療圏のリハビリテーション医療のけん引役を担ってきた。特に、急性期病床と併設となっているメリットを生かし、急性期と回復期のシームレスな連携を実現し、最先端のリ
ハビリテーションにも積極的に取り組んできた。
令和 2 年(2020 年)に発生した新型コロナウイルス感染症への対応にあっては、国内症例の発生当初から体制の整備に取りかかり、国内感染拡大期には積極的に軽症・中等症患者の入院受入れや発熱外来での診療を行うとともに、ワクチン接種の推進にも尽力するなど、まさに地域住民の命の砦としての役
割を果たしてきた。
これらのことを踏まえると、新病院では、現状の医療機能を継続し、高度で質の高い医療を提供し続けるのは当然のこと、救急や新興感染症など政策的医療を担う公立病院として更なる充実・強化が求められる。

新病院の病床規模は急性期病床 300~350 床

新病院整備にあたっては、少なくとも向こう 30 年間の医療需要に応える必要がある。また、これまでに述べた役割・機能を実現するためには、病床数と医師の確保が必要となるが、市単独では、急性期 267 床のみの整備となり、医療需要に応えつつ、診療体制を充実させることが困難であると言わざるを得ない。
ついては、国が推し進める「機能分化・連携強化」のうち、病院の再編統合のスキームを活用することで、国の財政措置により整備コストの軽減を図りながら、急性期病床 300~350 床を確保すべきである。
なお、この病床数の範囲内でより多くの病床を確保する方が、症例と医師等の確保の観点からも、また費用対効果の面からも望ましいと考える。
また現在、特定病床となっている回復期リハビリテーション病床は、制度上、市単独整備では新病院へ移行することができないが、病院の再編統合のスキームを活用することにより、回復期リハビリテーション病床の確保が期待できる。ついては、急性期病床を最低 300 床以上を確保した上で、最大限確保に努められたい。

新病院の運営主体・運営手法は指定管理者

豊能二次医療圏内での再編統合の実現可能性について調査を実施したところ、「取り組みたい」「興味がある」との意向を示した病院が複数確認でき、それらの病院はいずれも、統合後の新病院を自ら運営すること、すなわち指定管理者制度による運営を希望していた。
指定管理者制度は、市が指定する法人等に、公の施設の管理運営を包括的に行わせる制度であり、公立病院における活用事例も、全国的に広がりを見せているところである。
指定管理者制度を活用するメリットは、指定管理者の裁量で迅速な意思決定が可能になるなど、民間の経営ノウハウの活用により、効果的・効率的な病院運営が期待できることであるが、その前提として、市と指定管理者となる法人との間で取り交わす協定書に、公立病院として担うべき医療その他の必要な医療が適切かつ十分に提供されるよう、しっかりと明示するとともに、指定管理開始後には、実際の運営状況等から指定管理者を評価しなければならない。

新病院の整備手法はCM付きのECIかDB

審議会では、現病院の老朽化の現状や施設構造上の課題を確認した結果、新病院の整備は可及的速やかに行うべきとの判断に立ち、従来採用されてきた「設計施工分離方式」のほか、設計段階から建設会社の技術協力を得る「ECI(EarlyContractor Involvement)方式」や、設計と施行を一括発注する「DB(DesignBuild)方式」など整備手法について確認し、あわせて、コンストラクションマネージャー(CMr)が技術的に中立な立場からコスト・品質・スケジュールのマネジメント業務を行う「CM方式」の活用についても確認した。
築 41 年を超えて老朽化が進行している現状を鑑みると、工期短縮を実現しやすい「ECI方式」や「基本設計からのDB方式」を中心に、コストメリット等も総合的に勘案し、適切な整備手法を選択されたい。

病院概要

病院事業管理者大橋 修二
病院長岡 義雄
副院長足立 和繁 山口 充洋 青木 真理(看護局長兼務)
薬剤部長今井 秀樹
看護局長(青木 真理)
事務局長三宅 浩之
位置箕面市萱野5丁目7番1号
敷地面積29,281平方メートル
延床面積病院本館20,782平方メートル
地上5階 地下1階 塔屋2階
リハビリテーションセンター13,330平方メートル
地上4階 地下1階 塔屋1階
医師住宅473平方メートル 6戸
診療科目26診療科
内科、消化器内科、循環器内科、血液内科、糖尿病・内分泌代謝内科、神経内科、精神科、小児科、外科、呼吸器外科、消化器外科、乳腺・甲状腺外科、整形外科、形成外科、 脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、病理診断科、救急科、麻酔科、歯科
病床数317床

出所:第7回箕面市新市立病院整備審議会 (令和4年7月30日)