医療の現場では、患者が病院からの退院後に介護保険などに移行する際、医療保険や介護保険で賄えないニーズがある際に、どのように対応するべきかが課題となっています。在宅や居宅サービス等では提供できないちょっとした家事や雑用を引き受けてくれるパートナーとの提携は、地域包括ケアを担う医療・介護施設にとって患者・利用者満足度を高める効果的な施策となります。
待ちの便利屋さん ベンリーコーポレーション
このような見えなかったニーズを捉え、事業展開している企業として愛知県発祥の「株式会社ベンリーコーポレーション」という企業があります。
ベンリーはフランチャイズ方式を採用しており、不動産会社や電力会社、ホームセンターなどが加盟していますが、その中には医療法人が有するMS法人など、医療や介護、薬局などを経営する法人の導入実績も50社を超えています。
医療や介護に携わる法人がベンリーのFCに加盟しサービスを提供することで、患者や利用者に対して常にアクセスできる状態を維持できるとともに、「何かあったときの見守り機能」的な安心感を与えることにもつながっています。
地域包括ケアの補完サービスという新たなポジショニング
ベンリーが狙っている市場のポジショニングとしては保険外の生活支援という地域包括ケアシステムの補完にあります。高齢化する地域社会で、介護保険や行政サービスでは賄えないサービスを提供することで、地域貢献と自社の収益確保を狙うというビジネスモデルとなります。
具体的なサービス内容としては、これまでのノウハウを活かした生活支援サービスは100種類以上に上り、ハウスクリーニングや庭の手入れ・草刈り、エアコンの設置・クリーニング、家事、片付けなど多岐に渡り、介護保険や行政サービスでは手の届かない「かゆい場所」を丁寧に補完する印象があります。
実際の連携状況としては、介護保険で対応できないサービスや利用者さんのご家族のケアまで対応しており、医療・介護機関のソーシャルワーカーやスタッフと連携して「自宅内での困りごと」へ対応しているとのことです。
これに加え、現時点では元気な高齢者の困りごとに対応しつつ、必要なタイミングで医療・介護へつなげていくということをサービス内容に取り込んでいます。
ベンリーの強みはフランチャイズの研修力
ベンリーの生活支援事業の品質担保はその研修力にあります。
新たにフランチャイズに参加する事業者はベンリー本社にて53日間の研修を受けます。ここでエアコンの洗浄のような高度な技術を習得し、開業地域に戻って事業を開始するそうです。
100種類を超えるサービスを提供しているベンリーですが、便利屋さん未経験のFC加盟希望者も安心してサービスを提供できるレベルまで研修を受けることができる仕組みはベンリーの強みと言えます。
徐々に広がるベンリーの実績
医療・介護施設での導入事例としては、社会医療法人財団董仙会、社会医療法人中央会、社会医療法人愛生館、社会医療法人美心会、灰吹屋薬局などがあります。
医療施設としては急性期後の退院フォローとしてアフターサービス体制を構築する過程で、高齢者の住み慣れた地域での「電球を変えて欲しい」「家の片付け」のような看護師に寄せられていた相談に対応するために、ベンリーのサービスを導入しているようです。
「ここに頼めばなんでも相談に乗ってくれる」という安心感は医療機関の地域包括支援センターのような地域連携部門にとっても強い味方になるはずです。
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