病院職員による不正、横領、贈収賄

病院職員による不正、横領、贈収賄
病院職員による不正、横領、贈収賄

静岡県東部の6市町などが運営する沼津夜間救急医療センター(沼津市)で医療費約1億4千万円が使途不明金になっていることが報道された。医療機関における横領や贈収賄は毎年数件程度は報道されるが、このような報道は氷山の一角であるとも言える。

これまでに公表・報道されている不正に関与した病院職員の職種は幅広い。不正の防止には職員への教育の他に、現金を直接取り扱わない方法や複数職員による相互監視、不正通報の仕組み、外部監査などが必要となる。

【静岡県】医療費約2億5千万円が使途不明

静岡県東部の6市町などが運営する沼津夜間救急医療センター(沼津市)で医療費約1億4千万円が使途不明金になっている。

経理などの事務を担当していた60代の男性職員。

2014年以降で1億4千万円前後。口座は08年ごろに開設されていたため、総額はさらに多いとみられる。

【続報】流用されたとみられる総額が2億5500万円に上る

参考:あなたの静岡新聞(2024年6月26日)

【東京都】メーカーの製品を使う見返りに現金約50万円

東京労災病院

整形外科副部長

医療機器メーカーの製品を使う見返りに現金約50万円を受け取ったとして逮捕。同社前営業部長、営業部の両容疑者も贈賄容疑で逮捕。骨折などの治療に使われるインプラントを使うごとにポイントがたまり、現金に還元できる仕組み。

参考:朝日新聞デジタル「東京労災病院の副部長を再逮捕 別に20万円の収賄容疑 警視庁」(2024年5月10日)

【大阪府】契約を有利に進めた見返りに業者側から現金70万円

大阪刀根山医療センター

事務部企画課の係長

取引先業者の物品購入に関する契約を有利に進めた見返りに、業者側から現金70万円を受け取った疑い。文房具や事務用品を販売している大阪市中央区の会社取締役も贈賄容疑で逮捕。

参考:ABCニュース「業者選定の便宜見返りに現金70万円受け取ったか 国立病院機構の元職員を逮捕 2年間で数千万円分の契約 大阪」(2024年1月29日)

【千葉県】ステントを優先的に使用した見返りに約170万円

国立がん研究センター東病院

元医長

医療機器メーカーが製造販売する「ステント」(金網状の筒)を同病院で優先的に使用した見返りに、同社から約170万円の賄賂を自身の口座に振り込ませて受け取った疑い。同社前社長も贈賄容疑で逮捕。

参考:読売新聞オンライン「国立がん研病院の元医長、医療器具納入で業者と癒着か…170万円収賄容疑で逮捕」(2023ねん9月21日)

【北海道】業務上横領の疑い現金150万円

北見赤十字病院

事務職員 20代 男性

令和4年5月16日(月)に、当院会計課にて現金出納帳の記載額と当院預金通帳の入金履歴を照合したところ、現金150万円の不足が判明。その後、警察へ被害を届け出て、令和5年7月3日(月)、業務上横領の疑いで当該職員が逮捕。

【岐阜県】入院患者の現金930万円着服

岐阜病院

40代の女性の元看護師長

精神科の病棟の入院患者が日用品などを購入するために病院に預けていた現金を不正に引き出し、22人分、約930万円を着服。

参考:NHK「元看護師長 約930万円着服 入院患者からの預り金」(2023年7月12日)

【奈良県】眼内レンズを優先的に使用する見返りに現金計80万円受け取り

大和高田市立病院

眼科医

白内障用の眼内レンズを優先的に使用する見返りに現金計80万円を受け取った。

参考:日本経済新聞「レンズ巡る収賄 奈良・大和高田市立病院の眼科医を起訴」(2023年6月26日)

【千葉県】物品契約業者に便宜を図った見返りに現金計約2千数百万円受け取り

東千葉メディカルセンター

元総務課長の男

ベッドなどの物品契約をめぐり、業者に便宜を図った見返りに現金計約2千数百万円を受け取った。医療関連会社(千葉市美浜区)の代表取締役の男も贈賄容疑で逮捕。

参考:朝日新聞デジタル「千葉の地域中核病院の元総務課長を逮捕へ 二千数百万円収賄容疑」(2023年3月7日)

【京都府】診察予約の優先で現金150万円を受け取り

京都医療センター

外科科長

国立病院機構が運営する「京都医療センター」の医師が、担当する患者やその親族などの診察予約を優先的に取るなどの便宜を図る見返りに患者から現金150万円を受け取っていたとして、収賄などの疑いで書類送検。知人の経営コンサルタント会社役員の男を贈賄容疑で書類送検。

参考:読売新聞オンライン「知人ら優先診察の見返りに150万円、京都医療センター外科科長を収賄容疑で書類送検」(2023年2月28日) 

【三重県】銀行口座から現金横領 総額約1億6850万円

南伊勢町立南伊勢病院

38歳の男性職員

会計経理を担当していた2016年6月~19年3月、銀行口座から103回にわたり、現金計約1929万円を引き出し横領。同病院から計9826万円を横領したとして4度起訴。外部監査報告書では、町の被害額は約1億6850万円に上る。

参考:読売新聞オンライン「アイドルのために1億以上横領か、元町立病院職員の男を追起訴…三重・南伊勢町」(2023年3月29日)

【佐賀県】業務受注の便宜見返りに飲食接待20万円

嬉野医療センター

診療放射線技師長/医療用ソフトウエア開発会社の役員

放射線関連システムの導入を巡り、業者に業務受注の便宜を図った見返りに、数十回にわたって計約20万円相当の飲食接待を受けた。

参考:西日本新聞「国立病院機構で贈収賄容疑 嬉野医療センター元技師長ら書類送検 福岡・佐賀県警」(2022年12月26日)

【千葉県】工事業者選定を巡り旅行・飲食・物品受け取り 計90万円

下志津病院(千葉県四街道市)

元企画課長

2019年7月~20年9月、同病院が発注する工事などの業者選定を巡り、旅行と飲食などの接待(約60万円相当)を受けたほか、ノートパソコン1台やブランドシャツなど計5点(約30万円相当)を受け取った疑い。接待した側の電気機器卸の社長も贈賄容疑で逮捕。

参考:朝日新聞デジタル「国立病院機構の病院元課長を収賄容疑で逮捕 業者から接待受けた疑い」(2022年5月11日)

【東京都】会計ソフトに金額を過小入力 差額1.9億円を着服

相武病院

50代の女性の事務職員

2016年から着服していたと見られ、総額約1億9000万円。6年間にわたって病院の経理を1人で担当しており、患者から支払われた治療費などを集計する際、会計ソフトに実際よりも少ない金額を入力し、差額分の現金を持ち出す手口。

参考:朝日新聞デジタル「入院費着服の疑い、病院元経理担当を逮捕 総額1.9億円か」(2022年5月12日)

【奈良県】機器入札で落札会社に下請けあっせん 現金約53万円を受け取り

宇陀市立病院

宇陀市元職員

新型コロナウイルスの飛散(ひさん)を防ぐためにコロナ患者用の病室に設置する「簡易陰圧装置(4台)」の指名競争入札(落札金額749万1,000円・税込み)で、落札した会社に、下請けとして「エアアシスト」にも仕事をさせるようはたらきかけ、空調設備会社の社長から現金約53万円を受け取った疑いで逮捕。空調設備機器販売・メンテナンス会社社長も贈賄の疑いで逮捕。

参考:産経新聞「元病院職員収賄認める、コロナ装置めぐり 奈良」(2022年5月17日)

【福岡県】重度障害者向けの医療費助成制度を装い1.1億円横領

福岡青洲会病院

事務長だった40歳代の男性

2013年10月~今年7月、患者を重度障害者向けの医療費助成制度の対象者のように装い、自己負担金を返金する名目で横領したとし、計約1億1000万円。

参考:読売新聞オンライン「「病院の資金を横領」元事務長を提訴…福岡・粕屋の運営法人」(2021年10月19日) 

【熊本県】製薬会社寄付金のグループ研究費730万円を横領 外車を購入

2019/8/10

公立玉名中央病院

60代理事長

製薬会社などが病院に寄付し整形外科に割り当てられたグループ研究費約730万円を横領、外車を購入か。

参考:西日本新聞「730万円横領、前理事長を解雇 玉名中央病院 研究費で外車購入」(2019年8月10日) 

【神奈川県】医薬品横領 薬価1億円超 全額弁済

茅ヶ崎市立病院

薬剤師

勤務先の茅ヶ崎市立病院から医薬品を持ち出し転売、薬価にして1億630万5826円相当。

参考:タウンニュース「市立病院医薬品横領事件 被害額を特定 約1億630万円 市に弁済」(2017年11月22日)

【三重県】病院の支出を10年以上自腹で立て替え(特殊事例)

三重県の市立四日市病院では、当時の病院事務局職員が自動精算機の決済サービスを提供する2つの業者への支払い約263万円を自腹で支払った可能性。市の聞き取りに対し男性職員は「上司への決裁をとらずに契約を結んだことを隠蔽するためだった」と説明。

四日市市保健所の50代の男性職員。

男性主事の異動に伴って問題が発覚し、不適切な支払いは今年3月までの11年間で計333万円に上るとのこと。

この男性職員は診療報酬の電子請求に関わる回線使用料、約70万円も自腹で支払っていたとみられていますが、こちらは正式な契約手続きを踏んでいるため、市も動機が分からないと説明。

参考:CBC web(2024年7月12日)

その他、表に出にくい不正

実際の現場では、明確な不正とまで言えないグレーゾーンはいくつかあるため、以下の兆候が見れれる場合、管理者はその裏側に目を光らせることも必要である。特に、医療材料の購買や設備更新、医療機器の更新では良く見られる。

  • 医療材料や資材の調達業務に関連する部署で、他社への相見積もりや共同購入に対する抵抗があり、旧来からの仕入先を変更しない。病院担当者が特定業者と懇意。
  • 特定の設備の更新頻度が高い、または常に修理している。設備更新に関連し、設備機器メーカー・業者に対し、リベートやキックバックを暗に要求することがある。
  • 頻繁に小さな施設改修を行う。特定の設備会社、設計会社に少額発注を行う。小規模、少人数の会社の場合、相手方に監査機能がなく、金銭面のやり取りが比較的緩い。
  • 購買関連の決裁権限が明確でなく、特定の管理職(人事評価権限も有する)が購入、契約等の判断を行う。特定業者との関係が強い。