東京都保健医療計画 中間見直し(令和3年7月)

東京都保健医療計画 中間見直し(令和3年7月)

東京都は令和3年7月、医療法の規定により、東京都保健医療計画(平成30年3月改定)の中間見直しを行った。

東京都保健医療計画とは、医療法第30条の4に基づく「医療計画」を含む東京都の保健医療施策の方向性を明らかにする基本的かつ総合的な計画であり、計画期間は平成30年度~令和5年度の6年間となっている。

令和 2 年度(2020 年度)は 6 年計画の中間年に当たるため、現行計画の中間見直しを実施していた。

医療計画 中間見直しの背景

中間見直しの背景として、災害や感染症対策、医師の働き方改革などが挙げられる。

社会経済環境の変化

  • 災害への対応…令和元年東日本台風(令和元年第 19 号)など、河川の氾濫や暴風等の影響で、電気・水道・道路などのライフラインへの被害が発生、医療機関は停電、断水、浸水、暴風等により病院機能に支障を来す等、医療提供体制に大きな影響を受ける災害が相次いで発生。
  • 新興・再興感染症への対応…令和元年末に中国を端に発生した新型コロナウイルス感染症は、世界各地域に拡散し、令和 2 年 3 月に WHO はパンデミックを宣言。新型コロナウイルス感染症を含めた新興・再興感染症の拡大による有事における医療提供体制の確保という新たな課題への対応。
  • 医療情報のデジタル化推進…高齢化の進展に対応した地域包括ケアシステムの構築に向け、都内の多数を占める中小病院の役割はますます重要。中小病院が多いという東京都の特性を踏まえ、地域における医療連携の推進や在宅療養患者の情報共有・多職種連携の取組を進めていくために、医療情報のデジタル化を推進。

現行計画関連の国の動向

  • 医師の働き方改革…平成 30 年の医療法及び医師法の一部改正により、外来医療計画、医師確保計画の策定など国の医療提供体制構築に係る制度改革が推進されています。また、平成 31 年4 月に働き方改革関連法(平成 30 年法律第 71 号)が施行され、時間外労働規制の上限規制の適用により、医療機関の勤務環境の改善に取り組むことが必要とされています。

切れ目のない保健医療体制の推進

1 がん

小児・AYA世代(※)がん患者へ生殖機能温存治療費等を支援
がん患者の受療行動の変化を踏まえ、働きながら治療を受けるがん患者への支援を検討

※Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に、思春期(15歳~)から30歳代までの世代

2 精神疾患

各種法律、条例等の改廃内容を反映
依存症対策に関して、普及啓発や人材育成、関係機関との連携強化等の取組を推進

3 認知症

東京都高齢者保健福祉計画の改定に合わせ全面的に見直し

4 救急医療

機動力の高いドクターヘリを導入し救急医療体制の機能を強化
救急患者の円滑な転退院に向けた取組を支援

5 災害医療

多様化・大規模化する自然災害へ備え、災害拠点病院等が役割に応じた機能を発揮するための体制を整備
東京DMATの体制を強化

6 周産期医療

リスクに応じた機能分化と連携を推進
災害時を見据えた周産期医療体制を整備し、災害時小児周産期リエゾン等災害医療関係者の連携を強化

7 小児医療

より速やかに適切な医療へつなげるため小児救急医療体制の見直しを検討
災害時を見据えた小児医療体制を整備し、災害時小児周産期リエゾン等災害医療関係者の連携を強化

8 在宅療養

令和7年の在宅医療等のサービス必要量の推計を見直し
デジタル技術を活用した医療・介護関係者の情報共有や連携を促進
自らの希望する医療・ケアを受けることができるよう、アドバンス・ケア・プランニング(※)の普及啓発を推進

※ACP(Advance Care Planning)とは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、 本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援するプロセスのこと。

高齢者及び障害者施策の充実

1 高齢者保健福祉施策

東京都高齢者保健福祉計画の改定に合わせ全面的に見直し

高齢者が住み慣れた地域で自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を推進。

認識している課題

  1. 介護予防・フレイル予防と社会参加
    1. 地域の介護予防活動の拡大や、フレイル予防の観点での機能強化を推進する区市町村を支援
    2. 短期集中予防サービスの効果的な実施に取り組む区市町村を支援
  2. 介護サービス基盤の整備
    1. 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの介護保険施設等について、サービスの質の向上を図るとともに、整備が進んでいない地域での設置を促進するなど、地域偏在の緩和・解消と東京都全体の整備水準を向上。
    2. 認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護等の地域密着型サービスについて、多様な設置主体による整備を進めるとともに、東京都独自の整備費補助の実施や公有地の活用等により整備を促進。
  3. 介護人材の不足
    1. 職場環境の改善や、生産性向上に取り組む介護事業者の支援、介護人材確保に取り組む区市町村の支援
    2. 介護職員等の医療的知識の習得など、専門性の向上に向けた人材育成を積極的に支援
  4. 高齢者の住まいの確保
    1. 公共住宅のストックを有効に活用することに加え、民間賃貸住宅への入居促進による重層的な住宅セーフティネットを強化。
    2. 高齢者向け住宅等の供給を促進するとともに、サービス付き高齢者向け住宅の登録基準に都独自の基準を設けるなど、より安心して居住できる住まいを供給。
  5. 支え合う地域づくり‌
    1. 「団塊の世代」を始めとする多くの高齢者が「地域社会を支える担い手」として、自主的かつ継続的に活躍できる環境を整備。
    2. 地域住民による支え合い・助け合い活動や見守りネットワークの構築を支援。
  6. 在宅療養ニーズの増加
    1. 入院時(前)から、病院、地域の保健・医療・福祉関係者と連携した入退院支援の取組を推進。
    2. 在宅療養生活において重要な役割を担う訪問看護サービスの安定的な供給のため、訪問看護人材の確保・定着・育成等、訪問看護ステーションへの支援。
  7. 認知症の人の増加
    1. 認知症疾患医療センターを中心として、認知症の人が容態に応じて、適時・適切な支援を受けられる体制を構築。
    2. 医療・介護従事者等の認知症対応力の向上を図るとともに、認知症の人と家族を支える地域づくりを推進。
  8. 保険者機能強化と地域包括ケアシステムのマネジメント
    1. 区市町村が地域ごとに適切な地域包括ケアシステムのマネジメントを行えるよう支援。
    2. 地域包括支援センターが地域包括ケアシステムの中核的な機関としての役割を果たすことができるよう、機能強化に向けた取組を支援。

2 障害者施策

東京都障害者・障害児施策推進計画の改定に合わせ全面的に見直し

健康危機管理体制の充実

・新型コロナウイルス感染症対策における取組を検証し、検査・医療提供体制を整備
・患者情報把握のため、デジタル技術を活用し迅速かつ正確な情報収集及び提供を実施
・東京iCDCを中心とした公衆衛生人材の育成やネットワークの構築等を通じ、組織的対応力を強化

出所:東京都福祉保健局「東京都保健医療計画」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA