厚生労働省は、「令和2年受療行動調査(概数)」の結果を取りまとめ公表した。
受療行動調査とは、医療施設を利用する患者に対し、医療を受けた時の状況や満足度などについて、今後の医療行政の基礎資料を得ることを目的に、3年ごとに実施している。
令和2年は全国の一般病院484施設を利用する患者(外来・入院)約16万人を対象として10月に調査を実施し、約10万6千人から有効回答。
「選ばれる病院運営」を目指すためには、参考となる資料となる。
病院を選んだ理由は医師紹介と交通の便
この病院を選んだ理由は、外来、入院ともに「医師による紹介」が最も高く、外来で38.7%、入院で55.5%、次いで、外来では「交通の便がよい」が27.9%、入院では「専門性が高い医療を提供している」が26.5%となっている。
医師による紹介や医療の専門性が高いのは当然だが、「交通の便」が高いという結果から、患者自宅から病院のアクセス性の高さを訴求することも集患のポイントであると示唆される。
医療機関情報の入手先
ふだん医療機関にかかる時に「情報を入手している」者は、外来が80.0%、入院が83.0%と高め。情報の入手先別にみると、外来、入院ともに「家族・知人・友人の口コミ」が最も高く、外来で71.1%、入院で69.4%、次いで、外来では「医療機関が発信するインターネットの情報」が23.5%、入院では「医療機関の相談窓口」が26.2%となっている。
「家族・知人・友人の口コミ」 の高さは、外来・入院患者を問わず、自院を選択した患者の満足度や患者体験を高めていくことで、ポジティブな口コミが広がっていく。
診察等までの待ち時間は15分未満
外来患者の診察等までの待ち時間をは、「15分未満」が27.9%と最も多く、次いで、「15分~30分未満」が25.8%、「30分~1時間未満」が20.9%となっており、1時間未満の待ち時間の割合が約7割となっている。
病院の種類別にみると、小病院以外の全ての病院で「15分未満」が最も多くなっている。
通院しながら治療・療養の希望が増加
入院患者の今後の治療・療養の希望をみると、「完治するまでこの病院に入院していたい」が45.1%で最も多く、引き続き入院の希望が大きいが、「自宅から病院や診療所に通院しながら、治療・療養したい」が平成17年からの15年で16.5%から31.2%へ倍増しており、今後も増加が続くものとみられる。
退院後の自宅療養できない患者は25%と高め
入院患者の退院の許可が出た場合の自宅療養の見通しをみると、「自宅で療養できる」は58.0%、「自宅で療養できない」は25.0%となっている。
病院の種類別にみると、「自宅で療養できる」は特定機能病院が79.0%と最も高く、「自宅で療養できない」は療養病床を有する病院が39.7%と最も高くなっている。
自宅療養を可能にする条件
「自宅で療養できない」と回答した者について、自宅療養を可能にする条件をみると、「入浴や食事などの介護が受けられるサービス」が39.3%と最も高く、次いで、「家族の協力」が34.7%、「療養に必要な用具(車いす、ベッドなど)」が28.0%となっている。
病院に対する全体的な満足度は年々向上
全体的な満足度を年次推移でみると、「満足」していると回答した者の割合は、外来は5~6割程度、入院は6~7割程度で推移している。
平成8年以降、年々向上しており、患者満足度の向上は病院にとって基本的な考え方として浸透していると考えられる。
診察待ちと入院食事に改善の余地あり
項目別の満足度をみると、「満足」していると回答した者の割合が高いのは、外来、入院ともに「医師による診療・治療内容」「医師との対話」「医師以外の病院スタッフの対応」となっており、外来で約6割、入院で約7割となっている。
一方、「不満」であると回答した者の割合が最も高いのは、外来では「診察までの待ち時間」が23.9%、入院では「食事の内容」が13.6%となっている。
また、前回と比べると、外来では全ての項目で「満足」の割合が上昇している。
出典:厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」より抜粋・作成
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