国立病院機構 74人処分 取引業者と癒着

国立病院機構

公立病院機構は、病院に所属する複数の職員が、病院に出入りする業者から供応接待を受ける等不適切な行為があったとして、74人を処分する発表をした。

国立病院機構の病院に所属する複数の職員が、病院に出入りする業者(有限会社小松電器:文具、トナーカートリッジ等の一般消耗品販売、電気工事、電気製品の修繕)より供応接待を受ける等不適切な行為が行われているとする内部通報(令和 3 年 2 月)が国立病院機構本部にあり、本部において調査を行った結果、倫理規程等に違反する行為が確認されたため、3 月 30 日(水)に懲戒処分等を実施いたしました。
なお、事案の重大性に鑑み、理事長以下3名の役員報酬の一部を自主返納することとし
ます。

発覚のきっかけは内部通報

業者との癒着が発覚したのは、

令和3年2月、国立病院機構本部に対し、千葉県の国立病院機構の3病院に所属する職員が、当該業者社長から飲食の接待を受けているなどの匿名の内部通報があったとしている。

そのため、当該業者と取引実績がある17病院は全て関東信越管内にあったことから、関東信越管内(1都9県)の全32病院の契約事務担当者を対象に取引状況に関する調査(延べ792名)を実施した。

同社社長との旅行をし、供応接待等を受けていたもの【内部通報により発覚した事案】

  • H28 年度 バーベキュー1回(3名)
  • H29 年度 焼肉店1回(4名)
  • R1 年度 盛岡旅行1回(2名)
  • 富山旅行1回(1名)
  • スマートウォッチ贈与(1名)

(他社※の取引品目及び金額情報を提供した者1名。それ以外の4名については同社への便宜供与は確認されていない)
※ 当該他社が引き続き契約しているため、影響なし

安価に物品を購入するために他社の入札価格を同社に提供したものなど【調査により発覚した事案】

  • 他社の価格情報を同社に提供することでより安価な札入れを企図(4件)及び期限内の納品を確実にするため物品ごとに業者を限定し、1社を除外(1件)
  • トナーカートリッジ、洗剤、電池、テレビ等同社の不当な落札額は3年間で総額約 650 万円(同社からの利益供与は確認されていない)
  • H30 年度 1件
  • R1 年度 2件
  • R2 年度 2件

なお、本事案は、これまでの調査結果を踏まえ、令和3年10 月に警察に相談済みとのこと。

調査・処分のプロセスも公表

国立病院機構は、日本最大の病院ネットワーク(全国に140の医療施設 病床数約52,000床)ということもあり、物品や資材等の購入・調達量も膨大なものとなる。

本件で評価すべきは内部通報に対し調査・処分する機能が働いたことである。

公表している「国立病院機構職員による取引業者との癒着に起因する倫理規程違反等について(概要)」では、発覚から調査の過程、処分の詳細まで記載されており、厳正に対応していることがわかる。

癒着は病院の大小を問わず対策すべき

今回は1業者に関係する内部通報から発覚しているが、これほど巨大な組織においては職員だけではなく、業者側への通達も必要となる。

一方で本件は小規模病院であっても、このような癒着が発生しうるということを認識すべきである。中小病院では事務長クラスや用度担当者が数年間にわたり固定化されることもあり、組織内監視が機能していないこともある。

取引業者との不適切行為に係る再発防止策

Ⅰ 取引業者との接し方に関する基本ルールの徹底

  • 「取引業者との間で守るべきルール(ポイント)」を職員に配布し、取引業者からの供応接待等の禁止事項や取引業者から不当な働きかけに応じてはならないことなどを周知 【 別 添 】
  • 取引業者との接し方に特化した研修を設け、e-learning 等で全ての事務職員を対象に実施し、受講状況の確認を行う。

Ⅱ 他の職員が確実に業者とのやり取りを確認できる体制

  • 取引業者とのやり取りは、可能な限り必要最小限にとどめること
  • 取引業者との対面でのやり取りは、必ずオープンな場所で複数職員で行うこと
  • 取引業者とのメールでのやり取りは、職員個人に割り振られたメールアドレスは使用せず、必ず、他の職員も閲覧可能な係や課に割り振られたメールアドレスを用いて行うこと
  • 取引業者との電話でのやり取りは、必ず他の職員にも聞こえる場所で行い、やり取り内容を速やかに上司等に報告・共有を行うことを明確化

Ⅲ 特に重視すべき取引状況は病院幹部が必ず確認する体制

  • 契約審査委員会は、取引業者別の支払額や少額随契の契約業者の確認、競争性の阻害(不正)が疑われる取引の有無の点検を確実に行うこと。また、競争性の阻害(不正)が疑われる取引があった場合には必要な調査を行うこと
  • 特に、取引額が急増している業者、取引が長期に渡る業者、多額の取引がある業者及び同一業者に契約が偏っている場合には、契約手続の適切性について必ず確認を行うこと
  • 年間調達(契約)スケジュールを活用し、契約事務の進捗状況を定期的に点検し、必要に応じてスケジュールの見直し等を行うことを徹底

Ⅳ 上司が部下の契約手続の適正性を必ず確認する体制

  • 上司は、契約事務担当者の取引業者とのやり取り状況や関係性、契約事務手順などが適正かどうか必ず確認したうえで決裁を行うことを徹底
  • ※ 契約事務手順などの点検には、会計規程等の他、契約に関する業務フロー、随意契約指針、一者応札改善指針の他、書面監査における自己評価チェックシートを活用
  • 契約事務担当者任せにすることなく、日ごろから、年間調達(契約)スケジュールを活用し、契約事務担当者の契約事務業務の進捗状況を点検し、必要に応じてスケジュールの見直し等を行うことを徹底

Ⅴ 取引業者に対しても契約事務ルールの遵守を改めて徹底

  • 取引業者に対して、職員からの不正な求めに応じた場合には指名停止にもなり得ることを改めて周知し、不正な求めがあった際には必ず他の職員等に通報してもらうことなどを記載した書面を交付すること

出所:国立病院機構「国立病院機構職員による取引業者との癒着に起因する倫理規程違反等について(概要)

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