MicrosoftのウェブサイトでMicrosoft Teamsを利用した看護部主体の病床管理システムに関する事例が掲載されています。
国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院では、看護部と医療情報部が協力しながら、独自の「病床管理システム」を開発。Microsoft Teams (以下、Teams) による病床管理システムは、病床調整に係る業務の効率化を実現しているとのこと。
電子カルテや部門システムなど情報管理システムは、あれこれ導入しているうちに、いつの間にかに導入コストが積みあがっているケースが多いため、簡易なシステムは院内で自前準備という選択肢は参考になりそう。
看護部の負担が大きいアナログ病床管理
病床管理システムを導入していない病院では、紙媒体などに患者の入院や退院情報を書き込むなどで病床の管理をしている。病床を探すには多くの時間と労力がかかり、患者サービスへの影響や師長たちの大きな負担となっている。
東病院のこれまでのやりかた
- 看護師長が エクセルシートに担当病棟の入院患者数と退院患者数を入力して入退院の総数を算出
- 共有サーバーによるファイル共有のため同時にファイル書き込みできず
- リアルタイムで全体の空き状況を把握するのが難しく、師長が携帯する PHS から直接電話確認
- 空き状況だけでなく、そのベッドは差額か無差額なのか、窓があるかなど、患者さんの要望にも対応する必要
- 表計算の操作にも課題…いつの間にか表計算が崩れていたり、総数と実際の病床数が合わなかったり
- 師長がパソコンの前にずっといるのは看護という仕事の性質上難しい
病床管理システムを内製化
医療情報部は看護部の問題点をヒアリングにより絞り込み、病床管理システムを開発。
- 入退院に関する情報を最低限の入力で済むように作られている。
- 師長や副師長が Excel 上で入退院の数値を入力すると、日次のシートに反映され、確認後に「受入要請」や「病床報告」といったボタンをワンクリックするだけで Teams の指定のチャネルに投稿される仕組み
- ボタンのアクションは Excel VBA によって記述され、表計算の集計などは基本的に関数で実行される。
- Excel 上から自動的に Teams に投稿できるシステムにしたことで、Excel と Teams の画面を切り替える必要がなくなる。
- 医師からも一目で確認できるように、電子カルテに掲載する病床 1 週間推移予測の表もワンクリックで取得できるようにした。
病床管理業務時間40%の削減に貢献
- タイムリーに情報を把握でき、すぐに緊急入院なども掛け合い可能。
- 1 週間先の見通しもわかるので、担当する病床がいっぱいでも、他の病床が空いていれば調整可能。
- 医師たちが閲覧する電子カルテ システムのトップページに病床情報を掲載することによって、情報の共有が緊密に。
- 昨年は 1 日当たり 192 分でしたが今年は 116 分と、約 40% の時間が削減。
- 平均入院病床数 403 床が、今年の 2 月には 405 床(病床利用率 95% )。病床稼働率は 101% から 106% まで上昇。
参考:マイクロソフト「現場の声から「病床管理システム」を独自開発。Microsoft Teams を基盤に看護師長主導で病床運営を効率化」
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