県立西宮病院と西宮市立中央病院を統合再編し、西宮市域及び阪神圏域における中核的な医療機関として、高度急性期・急性期医療を担う新病院の整備を進めている西宮総合医療センター(仮称)。これから建設工事に着手することになる(令和4年の冬に工事着工予定)。設計は佐藤総合計画 関西オフィス。
新病院では高度急性期医療等の提供に加え、救急ワークステーションも整備される。
新病院の病床規模は552床、概算事業費は386億円としているが、建設資材等の価格上昇、宮水保全対策、感染症対応機能の充実、地中障害物対策工事等の追加対策経費が必要としており、今後も事業費増加が予想される。
新病院の基本方針
- 高度急性期・急性期医療の提供
- 救命救急センターとしての役割
- 先進医療への対応
- 感染症対応機能の充実・強化
- AI・ICTの活用
- 医療従事者の育成拠点
- 災害に強い病院
- 安定した経営基盤の確立
新病院の規模
- 診療科目 35 診療科
- 病床数 552 床(一般病床 544 床、精神病床8床)
施設計画
(1)建設場所
- 西宮市津門大塚町
- 敷地面積 26,000 ㎡
(2)構造規模等(予定)
① 病院棟
- 鉄骨造(免震構造)
- 地上 11 階、塔屋 1 階
- 延床面積 54,555 ㎡
- 高さ 53.5m
② 放射線治療棟
- 鉄筋コンクリート造(耐震構造)
- 地上 3 階
- 延床面積 1,228 ㎡
- 高さ 14.7m
③ 救急ワークステーション棟
- 鉄骨造(耐震構造)
- 地上 2 階
- 延床面積 382 ㎡
- 高さ 9.6m
※ 立体駐車場棟は、公募により選定された民間事業者が自らの資金で整備(基本設計中)
概算事業費
総事業費は386億円と試算されているが、別途、建設資材等の価格上昇、宮水保全対策、感染症対応機能の充実、地中障害物対策工事等 の追加対策経費が必要としている。
1床当たり換算では建設工事費が約4,500万円(床)、医療機器1,300万円(床)、全体では約7,000万円(床)となっている。
項目 | 金額(億円) | 1床当たり換算(円) |
---|---|---|
建設工事費 | 247 | 44,746,377 |
医療機器整備費 | 70 | 12,681,159 |
用地費 | 55 | 9,963,768 |
設計監理費 | 14 | 2,536,232 |
合計 | 386 | 69,927,536 |
設計上の主な特徴
(1)医療ニーズへの対応
- ① 高度急性期医療エリアの強化に向け、救急部門、手術部門、ICU、ヘリポートを、エレベーターにより迅速連携できるよう配置
- ② 医療環境の変化に対応するため、増築スペースを各所に確保するとともに、将来の柔軟な改修を可能とする建築設計を採用
(2)感染症対応機能の充実
- ① 平常時は一般患者に対応しつつ、感染症流行時は感染症患者の受入れが可能となるよう、専用の入口・エレベーターや陰圧設備を配した専用診察室・病室等を整備
- ② 感染拡大のフェーズに応じた病床拡大を可能とするゾーニングと空調設備計画(休止病床の抑制による感染対応と通常医療の併存を可能とする計画)
(3)地域における医療従事者の育成拠点づくり
- ① スタッフのための学びの場(カンファレンススペース)を各階に配置
- ② 多職種が利用できる広いスタッフステーションを実現
(4)災害への対応
- ① 免震構造の採用(地震対策)、敷地嵩上げ・重要施設の上階設置(浸水対策)等により災害時においても医療機能を維持
- ② 地震や大事故といった広域災害が発生した際に、様々な傷病者の受け入れを可能とするトリアージや処置等のエリア設定や、非常用電源、医療ガス等の設備配備
整備スケジュール
2022年度中に実施設計を終え、建設工事に着手。医療機器選定や情報システムの設計・発注を同時に進め、2025年に開院予定。
コメントを残す