東京都初の陽子線がん治療施設 江戸川病院

社会福祉法人仁生社江戸川病院に東京都内初の陽子線治療施設の誕生
社会福祉法人仁生社江戸川病院に東京都内初の陽子線治療施設の誕生

陽子線治療装置を開発するビードットメディカルは、東京都内で初となる社会福祉法人仁生社 江戸川病院グループと陽子線がん治療施設誕生に向け、 江戸川病院と基本合意書を締結したことを発表した。両法人は22年12月にビードットメディカル社製の超小型陽子線がん治療装置の導入に関する基本合意を締結していた。

江戸川病院では、2025年秋に陽子線施設の稼働を予定している。

ビードットメディカル社は2017年設立(量研機構/放医研ベンチャー認定取得)。革新的な技術で小型・低価格な陽子線がん治療システムを開発している。国内での導入は初となる。

東京都では、がん罹患者数が多く、陽子線治療施設の設置が望まれていたが、陽子線治療施設にはそれなりにスペースが必要なこともあり、導入には至っていない。都内の陽子線治療希望者は他県へ通院する必要があった。

一方で、東京都も独自に粒子線治療施設の整備を計画している。令和5年度以降、都内未導入の粒子線治療について、都立病院粒子線治療施設整備計画(仮称)を策定するとして、2か年の予算6,000万円を計上している。(参考「東京都HP」)

東京都福祉保健局は、都立病院粒子線治療施設整備計画策定支援について、委託先を医療開発研究所(港区)に決めた。都立病院の敷地内などを候補に建設地や規模、事業・運営手法の検討を進める。(参考

陽子線治療について

陽子線治療は体内深部にある腫瘍をピンポイントで正確に照射するため、X線治療に比べて周囲の正常な組織や臓器へのダメージが少なく、副作用を低く抑えることができる。そのため日常生活を大きく変えることなく、働きながらのがん治療が可能になるなど、患者のQOL向上が見込まれる。

陽子線治療の現状は、巨大で高額な装置にあり、病院への導入には高額な初期コストと十分な設置スペースが必要であることから、X線治療のように広く普及している状況とは言えない。(全国で19施設稼働(2022年12月現在))

ビードットメディカルのガントリー小型化の理由

陽子線照射の従来装置は、患者周りを筺体(ガントリー)が回転することで陽子線を様々な方向から照射するという構造であるが、ビードットメディカルは、陽子線を高磁場の超伝導電磁石内で曲げることで任意の角度から照射するという「非回転ガントリー®️」を考案し、ガントリーの小型化を実現。

独自技術により装置をX線治療装置と同程度のサイズにまで小型化されたことで、これまで陽子線治療の導入が困難であった都市部や、コストを理由に検討を断念していた病院への導入を促進していく。

同社には株式会社ジャパネットホールディングスも出資している。

江戸川病院 概要

江戸川病院では、身近な病院でありながら、がん治療に関して、専門病院と遜色のない知識と技術をもち、患者本位の小回りの利く治療を行っている。手術、放射線治療、化学療法等、がんに対する幅広いアプローチを実施。放射線治療では、メリディアンライナックユニティトモセラピーを有する。

  • 所在地:〒133-0052 東京都江戸川区東小岩2-24-18
  • 病床数:418床

新設する陽子線治療施設

  • 敷地面積500平米の4階建て構造
  • テニスコート半面ほどの面積に陽子線治療室を2部屋配備
  • 検査室なども含めた施設
  • 導入コストは数十億円か
陽子線治療・重粒子線治療を行う施設一覧

出所:ビードットメディカルHP江戸川病院HP