船橋市立医療センター建替 723.2億円 当初計画の1.6倍まで上昇

船橋市立医療センター
船橋市立医療センター

総事業費の内訳

病棟は全室個室を原則としていることもあり、2019年に437億円と試算された総事業費は、23年2月に709億円、24年3月に723億円へと修正され、全体では当初計画の約1.6倍へと膨らんでいる。

設計費は工事費の3%程度、医療機器、移転費、用地取得費は大きな変更はないものの、工事費が約2倍となり、昨今の驚くべき事業費の高騰の影響が見られる。

公立・公的病院であれば、事業費は行政側が負担するため「増額」で対応することになるが、民間中小病院は大幅な規模縮小または建て替えを諦めるレベルである。

項目基本計画
(2019年3月)
基本設計
(2023年2月)
実施設計
(2024年3月)
設計・工事監理委託料等11.015.217.9
工事費(駐車場等付属施設含む)290.0560.0571.2
医療機器等整備費74.074.074.0
移転費用等1.01.71.7
用地取得費61.058.658.4
合計437.0709.5723.2
船橋市立医療センターの総事業費 単位:億円

部門階構成

  • 新病院は地上 7 階建として、地下は設けない計画とします
  • 建物の中央部に、外来用、病棟用、スタッフ・ベッド搬送用、給食搬送用エレベータを明確にゾーン分けして配置することで、機能毎のスムーズな移動が可能な計画とします。
  • 1 階の救命救急センター・血管造影・画像診断、2 階の手術・ICU・HCU、3 階のACU・救急病棟、4 階の分娩(LDR) など、救急に関連する部門を屋上のヘリポートにも通じる専用のエレベータに隣接して配置することにより、迅速かつ効率的な救急医療を実現します。
  • 外来は、吹抜けを有する外来モールに沿って1 階、2 階に配置します。吹抜けまわりに配置したエスカレータ及び外来用エレベータで繋ぐことより、患者がスムーズに移動できる計画とします。
船橋市立医療センター 新病院断面図
船橋市立医療センター フロア構成
建築場所千葉県船橋市高根町
敷地面積44,674.44 ㎡
(うち病院敷地)42,511.47 ㎡
(うち保育所敷地)1,040.76 ㎡
(うち救急ステーション敷地)1,122.43 ㎡
病床数500床
(うちICU)12床
(うちSCU)15床
(うち緩和ケア病床)20床
(うち精神病床)7床
診療科目32科
内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、代謝内 科、緩和ケア内 科、腫瘍内 科、脳神経内科、腎臓内科、精神科、リウマチ科、小児科、外科、消化器外科、乳腺外科、整形外 科、形成外 科、脳神経外 科、呼吸器外 科、心臓血管外 科、皮膚 科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線診断科、放射線治療科、麻酔科、歯科口腔外科、救急科、小児外科
棟名建築面積延べ面積
病院棟12,575.64 ㎡53,373.92 ㎡
エネルギーセンター棟519.72 ㎡1,332.49 ㎡
医療ガス棟59.70 ㎡59.70 ㎡
駐車場棟1,957.96 ㎡11,510.11 ㎡
玄関庇 等487.11 ㎡0.00 ㎡
合計15,600.13 ㎡66,276.22 ㎡
棟名建築面積延べ面積
救急ステーション453.88 ㎡823.65 ㎡
自転車等駐車場1.85 ㎡14.25 ㎡
合計455.73 ㎡837.90 ㎡

新病院の整備方針

1 新しいまちのランドマークとなる病院づくり

  • 南部海老川環境軸を継承する病院玄関前広場(ウェルカムガーデン)をつくります。
  • 新しいまちのランドマークとなるために、まちのシンボルロードに正対して病院棟を配置します。

2高度な急性期医療を強化する病院づくり

  • 関連する部門を適切に配置し、機能毎の専用エレベータを設置することにより、高度医療の機能強化を図ります。
  • 救急医療に関連する部門は、専用の大型エレベータで直結させることにより、迅速かつ効率的な救急医療を実現します。

3 患者・家族視線の病院づくり

  • 患者・家族が利用する部門を主動線となるモールに沿って配置することで、わかりやすくスムーズな動線計画とします。
  • モールは、明るく見通しのよい空間とすることで、位置が把握しやすく、不安を和らげる空間とします。
  • 病棟は原則個室とし、患者にとってプライバシー性の高い療養環境とします。

4 スタッフ視線の病院づくり

  • 患者が利用するエリアとスタッフが利用するエリアを適切にゾーニングすることで、セキュリティを強化するとともに効率的な動線計画とします。
  • 病棟は、患者の看守りやすさ、スタッフ間の連携のしやすさ、看護動線の短縮に配慮した計画とします。

5災害に強い病院づくり

  • 地域災害拠点病院として、大規模災害時でも病院機能を維持できるような施設・設備を整備します。
  • 大規模災害時の傷病者受け入れを想定した計画とし、1 階外来モールや講堂には、医療ガスや非常用電源など必要な設備を適切に設置します。
  • 大規模感染症対応を想定し、感染患者の専用動線の設定、陰圧室の設置、感染患者の段階的な受け入れが可能な病棟計画など、COVID-19 の知見を踏まえた計画とします。

6成長と変化に対応できる病院づくり

  • 将来の病院の成長と変化に柔軟に対応できる増築スペースを想定します。
  • 既存棟と増築棟のスムーズな連携を可能とするために、内部主動線をオープンエンドにします。
  • 増築や建て替えだけに頼ることなく、改修しやすい構造、設備計画にすることで、成長と変化に備えます。

7環境に配慮した病院づくり

  • 省エネルギー性とライフサイクルコストのバランスを踏まえた
  • 建物への熱負荷軽減や自然エネルギーの活用、高効率設備の採用など環境に配慮した計画とします。

今後のスケジュール

2024年度から建設工事に着手し、開院は2027年末ごろの予定。

船橋市立医療センターは2027年末頃に開院予定

出所:船橋市立医療センター「実施設計の概要」