救急車事業 企業版ふるさと納税でマネロンか

企業版ふるさと納税のスキームを使ったロンダリング方法とは
企業版ふるさと納税のスキームを使ったロンダリング方法とは

宮城県の保存食料品製造業「株式会社ワンテーブル」が福島県国見町から受託していた高規格救急車リース事業に問題があったとの報道が相次いでいる。同事業は、企業版ふるさと納税を使った事業スキーム。

企業版ふるさと納税のスキーム

企業版ふるさと納税では、寄付した金額の9割が控除の対象となる。実質的な企業の負担が1割ほどに軽減されるため、課税逃れの可能性も指摘もある。

企業版ふるさと納税のスキームでは寄付額の最大9割が戻る

これらのスキームに対し、ワンテーブルの社長は、「超絶いいマネーロンダリング」と発言したとのこと。

企業版ふるさと納税の仕組み

主な発言内容

  • 救急車事業:ふるさと納税企業版の4億円の寄付のうち、90%の3.6億円が還付される
  • 4億円のうち、4,000万円の利益が出れば儲かるに決まっている
  • 利益率35~40%で設定しており、寄付するが、事業で戻すから儲かる
  • ふるさと納税企業版という制度を使いながら黒を白に変えている
  • 救急車事業の開発として、毎年4~5億円の寄付をする、それを当社で研究開発する、それをさらに無償貸与として自治体から受け、さらにそれを実証実験の名のもとに貸し出す
  • アンタッチャブルな時もあるので、あらゆる政策を付けて資金を浄化させる

本件においては、代表の発言内容が問題視され契約解消となっているが、企業版ふるさと納税のスキーム事態は問題ないとされている。(ただし、委託契約等の仕様書作成に当該事業者が関与することは問題あり)

出所:河北新報オンライン「ワンテーブル・島田昌幸社長 高規格救急車事業に関する発言

救急車事業の委託解消

福島県国見町は、当初、企業版ふるさと納税で4億円あまりの寄付を集め、高度な救命措置が可能な「高規格救急車」を開発し、貸し出す事業を行う計画であったが、同発言を受け、業務委託を解消している。高規格救急車はすでに12台が完成している。

救急車を開発しているのはDMM.comの子会社ベルリング

DMM.com「株式会社ベルリング」の株式取得 に関するお知らせ(2019年4月26日)

ワンテーブル社について

ワンテーブルは2016年設立の野菜・果実缶詰・保存食料品製造業。主な事業は備蓄用食品の開発(LIFE STOCK)、非常用発電対応ソリューションとあるが、官民共創コンソーシアム等を通じた自治体事業等の受託を行っている。

資本金は1,475万円程度だが、資本準備金として3.1億円を有する。主要株主には医療業界内の総合カンパニーであるシップヘルスケアホールディングス 株式会社を始め、株式会社読売新聞東京本社株式会社内田洋行稲畑産業株式会社BELL・ホールディングス株式会社と名だたる企業が並ぶ。

ワンテーブルに関するこれまでの報道

ワンテーブルに関するこれまでの報道は、河北新報詳しく報道している。以下、報道日ベースの一連の流れ。

  • 2023/02/04 福島・国見町 高規格救急車リース事業問題/同一の企業グループが「企業版ふるさと納税」/「課税逃れ」の可能性が指摘される
  • 2023/02/05 福島・国見町の高規格救急車 所有事業問題/特定企業の受注念頭とした、町長による公募前の答弁(22年9月時点)
  • 2023/02/06 福島・国見 ワンテーブルの別事業である備蓄ゼリーの単価が市販品の倍以上であることが発覚、町監査委「結果として割高」と報告
  • 2023/02/07 福島・国見町 高規格救急車リース事業に関し、福島県知事が是非明言避けるものの、企業版ふるさと納税を活用した地方創生事業の推進発言
  • 2023/03/06 宮城・亘理町、福島・国見町の高規格救急車事業の車両単価が相場の2倍であることが発覚 多賀城市の備蓄食品製造ワンテーブルが関与する宮城県亘理町と福島県国見町での官民連携事業で、防災関連事業としてワンテーブルが両町に導入
  • 2023/03/07 福島・国見町 救急車リース事業の公募型プロポーサル方式で委託事業者を募る際に作成した仕様書において、競合他社排除する項目 業者と自治体が確認か
  • 2023/03/18 福島・国見町 高規格救急車リース事業/仕様書作成 受託業者関与/官製談合の可能性を指摘するものの町は否定、宮城・亘理町の仕様書とも酷似
  • 2023/03/19 福島・国見町幹部が、22年11月の公募前(7月)にベルリング社製高規格救急車の既存車両を確認 委託業者を決め打ちか
  • 2023/03/19 宮城・亘理町、福島・国見町の救急車事業に関連し、ワンテーブル社長が「超絶いいマネロン」、「企業版ふるさと納税利用し、寄付してももうかる」発言
  • 2023/03/23 福島・国見町が備蓄食品製造のワンテーブル(多賀城市)が事務局を務める福島県国見町の共同事業体「官民共創コンソーシアム」を巡り、町がワンテーブルとの事業協定を解消 
  • 2023/04/08 国見町議会、高規格救急車の取得可決 福島県内外に寄贈へ
  • 2023/04/16 福島・国見町は救急車開発に関し、者との信頼関係崩壊したとして、業務委託を解消