東京都地域医療構想調整会議の進捗

東京都の病床計画

2021年7月~9月にかけて、東京都地域医療構想調整会議が各医療圏で開催されました。

将来に向けた医療機能の役割分担を決めていく会議であるが、この中では「令和3年度の病院及び診療所への病床配分について」も検討されています。

東京都保健医療計画上の既存病床数の状況

令和3年4月1日現在、東京都保健医療計画上の基準病床数は99,446床ですが、既存病床数は108,259床と8,813床の過剰状態です。これだけを見ると、東京都にこれ以上の病床は必要ないという意見も出るかもしれませんが、内訳をみるとそうではないことが分かります。

二次保健医療圏構成区市町村基準病床数
(A)
既存病床数
(B)
過(△)不足
(C=B-A)
区中央部千代田、中央、港、文京、台東5,57613,3037,727
区南部品川、大田8,2578,052△ 205
区西南部目黒、世田谷、渋谷9,7499,655△ 94
区西部新宿、中野、杉並8,39010,0711,681
区西北部豊島、北、板橋、練馬14,88014,833△ 47
区東北部荒川、足立、葛飾10,97810,9780
区東部墨田、江東、江戸川9,4469,187△ 259
西多摩青梅、福生、あきる野、羽村、瑞穂、日の出、檜原、奥多摩3,3424,094752
南多摩八王子、町田、日野、多摩、稲城11,38110,814△ 567
北多摩西部立川、昭島、国分寺、国立、東大和、武蔵村山4,3224,248△ 74
北多摩南部武蔵野、三鷹、府中、調布、小金井、狛江7,0677,388321
北多摩北部小平、東村山、西東京、清瀬、東久留米5,8105,556△ 254
島しょ大島、利島、新島、神津島、三宅、御蔵島、八丈、青ヶ島、小笠原24880△ 168
総                 計 99,446108,2598,813
基準病床数に対して既存病床数は8,800床の超過状態

8,813床の過剰病床の大部分は区中央部(千代田、中央、港、文京、台東)によるもので、当該5区の総病床数は7,727床と東京都の過剰病床の87%を占めています。

では、区中央部が一方的に過剰な病床を持っているのかというとそうではなく、高度急性期機能である特定機能病院が6施設(大学病院本院は5施設)あり、高度医療提供施設が集積し、東京都外から様々な地域から患者が流入していることが特徴で、これを是正することは高度医療提供への制約にもなり現実的ではありません。

また、東京都の令和 7 年(2025 年)の必要病床数の推計結果は 113,764 床となっており、これを、病床機能別にみると、高度急性期 15,888 床、急性期 42,275 床、回復期 34,628 床、慢性期 20,973 床となっています。必要病床数と令和3年4月現在の既存病床数108,259床を比較すると、約 5,500床不足することとなっています。
※令和 7 年(2025 年)の病床数の必要量は、推計値であり、様々な要因により影響を受けることに留意する必要がある。

高度急性期機能急性期機能回復期機能慢性期機能
患者数11,916床32,974床31,165床19,294床95,349床
病床数15,888床42,275床34,628床20,973床113,764床
構成割合14.0%37.2%30.4%18.4%100.0%
東京都の医療計画では将来の病床数は不足すると推計されている

病床機能再編支援事業

東京都では、都内の病床数を削減するために病床機能再編支援事業として、3つの給付金事業を提案しており、引き続き病床は削減される方向です。

1.単独支援給付金支給事業

病院又は診療所であって療養病床(医療法第7条第2項第4号に規定する療養病床をいう。)又は一般病床(同項第5号に規定する一般病床をいう。)を有するもの(以下「医療機関」という。)が、地域の関係者間の合意の上、地域医療構想に即した病床機能再編を実施する場合、減少する病床数に応じた給付金を支給することにより、地域医療構想の実現に向けた取組を支援することを目的とする。

病床稼働率に応じ、削減した場合の1床当たり単価は114万円~220万円が交付される。

2.統合支援給付金支給事業

複数の医療機関が、地域の関係者間の合意の上、地域医療構想に即した病床機能再編を実施し統合する場合、当該統合に参加する医療機関に給付金を支給することにより、地域医療構想の実現に向けた取組を支援することを目的とする。

病床稼働率に応じ、削減した場合の1床当たり単価は114万円~220万円が交付される。

3.債務整理支援給付金支給事業

複数の医療機関が、地域の関係者間の合意の上、地域医療構想に即した病床機能再編を実施し統合する場合、当該統合によって廃止となる医療機関の未返済の債務を、統合後に存続する医療機関が新たに融資を受けて返済する際の、当該融資に係る利子の全部又は一部に相当する額に係る給付金を支給することにより、地域医療構想の実現に向けた取組を支援することを目的とする。

出典:「病床機能再編支援事業」について 
地域医療構想の達成に向けた病床の機能又は病床数の変更に関する事業

東京都の基準病床数の変更方法はバーター式

地域医療構想では原則として二次医療圏ごとに医療を完結させることが望ましいとされていますが、区中央部や区東北部のように、医療の格差がすでに発生している場合はどうするのでしょうか。

東京都では、病床を増やすことなく、高齢化の進展に伴う医療需要に加えて、新型コロナウイルス等新興・再興感染症や災害の発生時においても患者が身近な地域で安心して医療を受けられる病床を早期に整備するため、医療需要がある圏域について、基準病床数の見直しを行うとして、区東北部(荒川区・足立区・葛飾区)の基準病床数を473床増床しました。

増床の理由は地域内の医療機能不足の補完

当該年度病床配分の受付に対し、8つの医療圏より申請が出されましたが、区東北部(荒川区・足立区・葛飾区)は、基準病床数を大幅に上回る申請(473床超過)がありました。地域の意見として、区東北部の地域医療構想調整会議では、配分申請のあった病床はいずれも地域に必要な病床であり、最大限の配付を要望する意見が出されていました。

  • 急速な高齢化に伴う医療需要の増加への対応が必要
  • 感染症や災害発生時に医療機能を発揮する病床の整備が急務

これら地域の実情を踏まえ、新興・再興感染症や災害の発生時にも、地域での医療提供体制を確保できるよう、基準病床数の見直しを検討することにしたということです。

区中央部の流出分を区東北部に戻す

大学病院等の集積する区中央部に患者が多数流出、特に区東北部と区東部が多い。

  • 病床数(7対1入院基本料)や区中央部への者流出数で比較すると、区東北部は急性期が不足傾向
  • 病床数(回復期リハビリ及び地域包括ケア病棟入院料)や区中央部への患者流出数で比較すると、区東北部及び区東部ともに回復期が不足傾向
  • これらを踏まえ、圏域間の患者流出入調整により、見直しを図る。

現時点の基準病床数

令和3年4月1日時点の基準病床数は、総数99,446床を変更せず、区中央部を473床削減し、そのぶんを区東北部へ増床するものとなりました。

 R2.4.1
基準病床数
(A)
R3.4.1
新基準病床数
(B)
増減
(B)-(A)
区中央部6,0495,576△ 473
区南部8,2578,2570
区西南部9,7499,7490
区西部8,3908,3900
区西北部14,88014,8800
区東北部10,50510,978473
区東部9,4469,4460
西多摩3,3423,3420
南多摩11,38111,3810
北多摩西部4,3224,3220
北多摩南部7,0677,0670
北多摩北部5,8105,8100
島しょ2482480
合計99,44699,4460

時期医療計画の見直しが迫っていますが、これまでの5事業に新興感染症への対策を加えた医療機能の見直しとなると明言されており、基準病床数も影響を受ける可能性があるため、引き続き動向を注視する必要があります。

出典

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