小田原市立病院 基本設計 完成

新小田原市立病院の基本設計が完了
新小田原市立病院の基本設計が完了

小田原市は、2020年12月に作成した新病院の基本計画に基づき、2021年11月に竹中工務店・内藤建築事務所設計共同企業体と進めてきた新病院の基本設計を公開した。基本計画では病床数400床程度、延べ床面積は全体で40,000㎡としていた。レトロフューチャーなかわいいデザイン。

新病院は、現病院敷地南側の道路を付け替え、敷地を拡張し、病院敷地内1病院本体整備範囲に建設する。

新小田原市立病院の敷地

配置計画

県道や足柄駅・井細田駅からの人の流れを敷地内にボーダレスに引き込むようロータ
リー中央にはシンボルツリーを設け、まちから病院へと人の流れをつなぐ計画。

配置計画コンセプトは「まちとボーダレスにつながる病院」

縦動線計画と各階構成

新小田原市立病院の縦動線計画
  • 北側に配置したコアは救急専用EV、寝台用EV(患者診療搬送)の3台を配置し、救急専用EVは救
  • 急、内視鏡、手術、ICU等重症病棟、病棟、ヘリポートに直結させ、最短のエマージェンシーラ
  • インを計画
  • 寝台用EVは病棟からの患者診療搬送を想定することで1,2階ガレリアを横切らず各診療部門へのアクセスを容易にします。感染患者の搬送の際は1台を感染専用EVにすることで直接感染対応病室への移動が可能
  • 病棟中央に配置したコアは来客・患者用EV3台とサービス用EV3台を配置
  • サービスヤードから直結したサービス用EVは薬剤や給食、各検査材料など物品のメイン搬送
  • 病棟患者のリニアックや生理検査への搬送にも利用可能であり、病棟からの遺体搬送にも利用
  • 南東には厨房専用EVを配置し、メインコアの混雑回避と徹底した清汚分離が可能
  • 外来専用EVをガレリアに面して2台設置することで外来患者動線に配慮した計画

1階は救急

  • 救急部門は県道からの直結アプローチと救急専用EVへの迅速動線を確保し、時間外・ウォーク
  • イン患者はロータリーからのダイレクトアプローチが可能な計画
  • 関連するCT・MRI・アンギオ等は隣接させ迅速な移動に配慮した計画
  • 感染患者は時間外玄関からアプローチし、直通の感染専用EVにアクセスできるルートを確保

2階は外来をワンフロア集約

  • 患者動線を第一に考えたワンフロア外来を計画
  • 外来に関係する内視鏡・生理検査・検体検査をそれぞれの関係性の高い科の近くに配置することで患者動線を最短化
  • 内視鏡は救急からの利用にも配慮し、救急専用EVからの直結アプローチが可能な配置計画
  • 薬剤は投薬やサービス玄関からの物品搬送に配慮して2階ガレリアに配置することで効率性と利便性を重視

3階は手術、救急病棟、ICUなど

  • 救急専用EVから超急性期ホールを中心として、手術部門・各重症病棟へダイレクトにアクセスが可能な計画
  • ICU・CCU・HCU・救急病棟を集約配置し、各病棟間の患者移動とベッドコントロールが容易な計画
  • 手術室に隣接してME・中央材料・病理を配置することで、迅速な機器・器材の搬出入や病理検体分析が可能
  • 手術室は器材スペースを広く確保することで将来の手術室拡張に配慮した計画

4階はスタッフエリア

  • スタッフベースを中心に医局・食堂スペースを周囲に配置し、各階への迅速な移動とスタッフ間のコミュニケーションの誘発を創造
  • 機械室を4階に集約することで他階への機械室スペース確保が最小限となり、スタッフや患者のスペースを最大限確保

5階はリハ、透析・化学療法

  • リハビリ・透析・化学療法への患者動線はスタッフ動線と完全に分離し、他の診療科とは離れた位置に配置することで、落ち着いた治療が可能
  • 厨房への食糧搬入は南東の専用EVを使用し、配膳は中央EVを一定時間専用運転

6階は産科・女性・小児病棟

  • 産科・小児科を隣接させることで機能的な周産期センターを整備し、スタッフの連携を強化
  • 分娩・NICUは救急専用EVからの搬送に配慮した計画
  • 小児科と一般病棟は廊下を連続させた隣接配置とすることで、フレキシブルなベッドコントロールが可能

7階、8・9階病棟

  • 7階西病棟は北側に感染対応個室を配置し、感染EVと隣接させることで感染患者への対応と段階的な感染エリア拡張の対応が可能な計画
  • 各病棟には食事介助や患者看守りなど各科の特性に合わせた利用が可能なPas(ペイシェントステーション)を配置
  • 8,9Fにも感染対応個室を1室設け、感染EVに隣接した配置計画
  • 各病棟の中央にスタッフベースを設け、スタッフ間の連携強化と情報共有が容易な計画
  • SS(スタッフステーション)はすべての病室への見通しが良く、最短距離で看守りができる計画

総事業費は288億円

基本計画策定時点における概算整備事業費の総額は 288 億円としていた。延べ面積40,000㎡計画であるため、建築単価(以下1、2、4)は約56万円(㎡)。

項目内容税込金額
1.本体工事費198 億円
2.付帯工事費駐車場整備・外構工事、仮設駐車場整備工事15 億円
3.解体工事等既存病院解体工事、看護師宿舎解体工事12 億円 
4.設計費等基本・実施設計業務、工事監理業務、基本・実施設計・工事支援業務10 億円
5.調査費等地質調査費、環境影響調査費等0.5 億円
6.医療機器等医療機器等整備費40 億円
小計276 億円
関連事業費
1.付替道路設計業務及び築造工事1.1 億円
2.埋蔵文化財調査費10.5 億円
3.職員住宅解体工事0.5 億円
合計288億円

出所:小田原市立病院HP