笠岡市新病院 基本計画 99床

笠岡市立市民病院
笠岡市立市民病院

岡山県笠岡市は、笠岡市新病院 基本計画(素案)を公表した。病床規模は99床。現在と同じ13の診療科を標榜。最近の流れともなっている独立行政法人化とともに、今後はECI方式による整備で令和8年の開院を目指す。

笠岡市新病院の背景

  • 笠岡市立市民病院(以下「市民病院」という。)は、昭和38年9月に現在地に移転し、時代の求めに応じて診療提供を行い、最大時には278床となったが、その後、地域の医療機関の整備が進むとともに、人口の減少や医師数の減少を背景として、患者数が減少し、令和3年度からは99床
  • 既存棟は建築してから50年以上、増築した建物も30年以上経過し、耐震化ができていないだけでなく、施設及び設備の老朽化が著しく、給排水管のトラブルなど様々な支障が頻繁に生じるとともに、市民病院が将来にわたり地域医療及び地域包括ケアシステムを支える役割と大規模災害時(地震、風水害、感染症など)における拠点的な病院としての使命を果たすために、地域の医療機関との連携を図りながら地域包括ケアシステムを構築するなど、公立病院の役割を果たしながら、時代に合った病院となる必要がある
  • 2018年度に実施した市民意識調査、市民病院の建替え問題を考える100人市民会議、2020年度に開催した『笠岡市新病院基本構想有識者会議』を経て、とりまとめた『笠岡市新病院基本構想』を策定
  • 本基本計画は、『笠岡市新病院基本構想』に基づき、笠岡市新病院(以下「新病院」という)の担うべき役割や機能等について、笠岡市及び笠岡市立市民病院としての考え方や方向性を具体化した計画を整理したもの

新病院の基本方針は離島・救急・小児・リハ・災害・在宅・感染

  1. 離島への医療の提供…離島における医療提供として、在宅医療・遠隔地診療(情報通信機器を用いたオンライン診療)を含めて継続、島しょ部の救急医療提供体制を強化するため、笠岡地区消防組合と救急患者を受け入れる医療機関としての体制を強化
  2. 救急医療…二次救急医療機関として、休日夜間の救急受入、診療所からの救急患者の受入体制を継続、高度急性期病院・周辺医療機関と連携した医療提供体制の更なる強化
  3. 小児医療…小児一般診療の継続、発達障害や療育関係を含む対応の強化
  4. リハビリテーション機能…高度急性期から在宅復帰へ向けての患者の受入や地域包括ケアシステムの中での役割としてのリハビリテーション機能を強化、訪問診療・訪問看護・訪問リハビリテーション等による在宅医療の拡充
  5. 災害時医療…水、食料、医薬品等の備蓄と、非常用電源の整備等により、自然災害に強い病院を整備、新興感染症発生時における地域医療を守る拠点としての機能を維持できる病院を整備
  6. 地域包括ケアシステムでの役割(在宅医療)…地域包括ケア病床及び療養病床を核に、訪問診療・訪問リハビリなど在宅医療を拡充、訪問看護ステーションの設置
  7. 新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組…新興感染症の拡大時に備え、院内感染対策として病棟を全床個室で整備

病床数は99床

  • 一般病床 …26床
  • 地域包括ケア病床…34床
  • 療養病床…39床

診療科目は内科メインの13診療科

内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科、外科、整形外科、産婦人科、泌尿器科、皮膚科、眼科、小児科、放射線科、リハビリテーション科

経営形態は独立行政法人化へ

現在、市民病院は地方公営企業法(全部適用)で運営しており、開設者は市長で、運営責任者は事業管理者。現状では黒字だが、将来を見据え、より柔軟に、また働き方改革等医療環境の変化に対応するため、新病院開院・既存病院解体後に地方独立行政法人へ移行することを目指す。

部門別計画

外来部門

想定外来患者数は、180人/日を目標とします。
離島医療や在宅医療の充実に向け、オンライン診療や訪問診療を拡充します。
小児科は外来機能の他に、発達障害や療育関係の診療を継続します。

病棟部門

プライバシーの配慮や感染症対策、将来的な病床の転換を考慮し全室個室とします。
業務の効率化やチーム医療を推進するため、最新のシステムの導入等を検討します。

リハビリテーション部門

急性期から生活期の病状への対応、疾患別リハビリテーション、訪問リハビリテーション等、
小児から高齢者まで幅広い年齢層に応じたリハビリテーションを提供します。

健診部門

市民の日常の健康管理や健康寿命の延伸へのサポートとして、人間ドックや各種健康診
断を周辺病院との連携のもと実施します。

管理部門

患者の安全快適な療養環境として必要な機能、病院利用者への利便性や地域との交流
を考慮した機能を確保します。

建物概要

  1. 病院棟…階数 :4階程度、延床面積:8,400㎡程度、構造 :種別・耐力は設計段階で検討、駐車台数:患者用130台程度
  2. 薬局・売店棟…階数 :2階建 1階 敷地内薬局・売店、2階 大会議室、延床面積:500~600㎡
  3. 構造 :種別・耐力は設計段階で検討
笠岡市新病院の配置計画

本事業で採用する設計・施工の発注方式の検討にあたっては、本事業の特徴(整備地、開院時期、建築単価)を考慮しECI(アーリー・コントラクト・インボルブメント)方式を採用する。

概算事業費は71.5億円。

近年の社会情勢による建築費用の高騰を見込み、約71.5億円程度の見込み。今後も情勢の変化を注視しながら設計段階においてさらに精査するとともに事業費の抑制に努める。

項目概要概算事業費
設計・監理費等 基本設計、実施設計、設計監理 等2.8億円
建築工事費本体工事、駐車場、外構、解体工事 等56.7億円
医療機器等整備費医療機器・医療情報システム整備費 等12億円
合計約71.5億円

新病院整備スケジュール

現時点の想定スケジュールは、基本計画策定後、設計・建築工事に着手し、令和8年度中の開院を目標に本業務に取り組む。

笠岡市新病院の開院は令和8年予定

出所:笠岡市HP