また病院で着服1.5億円|回避する仕組みを考える

病院経営と癒着への対応 阻止する新しいビジネスの可能性は?
病院経営と癒着への対応 阻止する新しいビジネスの可能性は?

再び病院で着服1.5億円というニュースが飛び込んできた。

今回は三重県伊勢町の町立南伊勢病院。ほぼ全額をアイドルのコンサートに使ったとのこと。
出所:https://news.yahoo.co.jp/articles/6df00e6546c0d1d8af7afbcd7e5e197ea363e835

  • 病院が昨年度の決算書類を確認したところ、辻褄が合わない箇所を複数発見
  • 6月7日、男性職員が町役場を訪れ、着服していたことを申し出た
  • 男性職員は町の聞き取りに事実を認めた上で、現金の使い道についてはアイドルのコンサートなどに使った
  • 男性職員は患者から現金で受け取った診療費の一部を着服したり、病院の口座から現金を引き出すなどの手口を繰り返していた
  • 病院は赤字脱却のため、2019年に病床数を減らして経営のスリム化を図っていた
  • 町役場は近く警察に告訴状を提出するとしていて、21日にも町長が会見を開き、事件の概要を説明する予定

病院で着服が起きる原因は?

病院での職員による着服騒動。これは公立・私立に限らず常について回る問題である。その主たる原因は経営主体から「目が届かない」ということであるが、会計等における人員体制の不足(というより、それを重視していない)ことに問題がある。

当該病院では実態として入出金管理は1~2名程度で行われており、監査が機能していなかったと推察される。このような病院は全国に相当数あるのではないかと思われる。

会計系に限らず、委託・医療機器・情報システム等の病院経営の大きなコストや「院長」や「事務方」が分かりにくいコスト部分については、透明化ができる仕組みが必要である。

本件から得られるビジネスモデルの可能性

  1. 入出金管理の完全外部委託…医事業務は外部委託が多いが、中小病院では入出金管理も含め自前が多く、コスト節減のため少人数による運営が多いことから、監査が十分機能していない。第三者機関による診療報酬(請求)と入金を管理できる仕組みがあると良い。
    ※不正が働く余地があるのであれば、保険的にこれを回避するコストを負担しても良いと訴求する必要があるが、低額であれば入手金管理は事務的に手間であるため需要があると推察される。
  2. 外部委託業務の内容と価格サーチシステム…病院による業務の外部委託について、特定部門が長期的に懇意にしている業者と癒着(とまでいかないが、顔なじみに今後も続けてほしいという要望)があることから、全国的な価格傾向と同地域におけるサービス対価格の情報を提供する仕組みがあると良い。
    ※業務委託は地域によって価格差が激しいため、情報を提供する病院に対し、一定のメリットを受けられる仕組みを提供すべき。
  3. 医療機器調達サーチシステム…医療機器調達においては、診療部と特定メーカーの懇意があるが、事務方としては医師への経営状況の説明(の中に、相見積もりの重要性を伝える)と共に、特定メーカーへの依存を避ける(不可であっても、相見積もりによるメーカー牽制ができる)ことを伝え、かつ、これらを第三者視点で落札価格等を提供するサービスがあると良い。(すでに数社から提供されている)
    ※特に公立病院においては、建替えタイミングで医療機器の「マスターリスト」と称して、医療機器リストを廉価に作成する会社があるようであるが、これは入札情報の事前入手であるため、注意が必要である。
  4. 情報システム構成支援システム…これまでの大手ベンダー以外のシステムを検討すべきである。一度導入してしまうと、医師らの変更にかかる心理コスト(学び直し)がかかるとのことで、既存システムの継続が見受けられるが、システムは日々アップデートされていることから、電子カルテ&部門システムの最新動向情報を提供するプラットフォームを提供すると良い。
    ※今後、電子カルテというワードに捕らわれないオープンシステム(真に病院を経営するために必要な統合業務管理システム)が普及すると思われる(アプリ的な簡便システム)ため、これらの誕生を見越してシステムを導入するべきである。
  5. 事務長派遣システム…多いのが事務長のような事務方トップが短期的に変わらない体制による業者との癒着。保守的な事務長であると「よしなに」とこれまでのまま、一方、改革派は独断で進めるが決定に至る経緯が不明瞭などあり、客観的に状況を判断できる仕組み(総合相談窓口など)を持つ事務長派遣サービスなどがあると良い。
    ※直接的な人員派遣というより、事務長業務をシステム的に整理した「AI事務長」のようなものがあると良い。

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